- ピロリ菌ってなに?
- 投稿者:田中まさはるクリニック 院長 田中 政治
正式な名前は「ヘリコバクター・ピロリ菌」といいます。約3μm(1μmは千分の1ミリメートル)のらせん状の細菌で、数本の鞭毛を回転させてまるでヘリコプターのように活発に動き回り、人の胃の粘膜や細胞の間に入り込んで炎症を起こします。
この菌はすべての人の胃にいるわけではありません。日本では生活環境の整備により30歳代以下の人は感染率が低いのですが40歳以上では70~80%の人が感染しています。感染は主に口から感染しますが、感染経路は現在でもはっきりしていません。しかし、免疫能力が不完全な幼少期に感染が起こり、成人は感染する機会はほとんどないと考えられています。
ピロリ菌は胃潰瘍・十二指腸潰瘍が起こる原因の一つですが、感染している人すべてが必ず潰瘍になるわけではなく感染者の内、約2~3%の人が潰瘍になっています。しかし、逆に胃・十二指腸潰瘍の人のうち約80~95%が感染しており、ピロリ菌は潰瘍の原因として大きな比重を占めています。また、潰瘍の他にも胃癌、胃MALTリンパ腫(胃の腫瘍の一つ)、特発性血小板減少性紫斑病(出血しやすい病気)、萎縮性胃炎、胃過形成ポリープ、機能性ディスペプシア(上部消化管症状の総称で癌や潰瘍などのはっきり分かる病気は除きます)、逆流性食道炎、鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹に関係していると言われています。
ピロリ菌が引き起こす病気を予防するため、胃カメラや呼気・尿・血液検査等を行い、感染していたら除菌を行う活動がすすめられています。
平成24年2月