- 予防接種は受けておきましょう
- 投稿者：きのした小児科クリニック 院長 木下 昇平
もう、重い病気は流行っていないからとか、自分の子はあまり病気しないから大丈夫だとか、副反応が心配だからとかで予防接種をためらってはいませんか？
結果から申しますと予防接種は必ず受けた方が良いのです。まだ世界では、予防接種を受けられずに麻疹、百日咳、破傷風などで死亡する子どもたちが今でも年間１００万人以上、ポリオで小児麻痺になる子は１万人以上もいるのです。
予防接種のQ&A
Q.破傷風、ジフテリア、ポリオなどまだ予防接種が必要ですか？
A.はい、必要です。
破傷風菌は自然界から死滅することはありません。ケガをしたときなどは心配です。二、三種混合を受けることによってのみ予防が可能です。また、ジフテリアやポリオも予防接種の進んでいない地域（海外）ではまだ流行がみられます。世界で根絶宣言が出るまでは油断できません。
Q.麻疹や風疹は自然にかかった方が良いのでは？
A.とんでもありません。
麻疹はかかると７日高熱が続き、肺炎や脳炎を合併することがあります。今でも年間１０人ほどの死亡例がみられます。また、風疹は、かかっても３～５日ほどでなおり麻疹ほどひどい症状はみられません。しかし、流行すると予防接種をしていない妊婦さんがかかり、その赤ちゃんの命を脅かす病気をもたらすことになります。
なんとしても、みんなで流行を阻止する必要があります。
Q.水ぼうそうやおたふくかぜやインフルエンザは有料ですが、予防接種を受けた方がよいですか？
A. 受けた方が良いです。
水ぼうそうは、かかると７日ほど治るまで集団生活ができません。今、軽くするお薬がありますが、やはり７日はかかります。働かれているお母さん方には是非おすすめですし、予防接種をしていればかからずに済むか、かかっても痕を残さずに３～４日で治ります。
おたふくかぜは、罹ると７～１０日治るまでにかかり、やはり集団生活ができません。髄膜炎という合併症もおこることがあり（数％）入院することもあります。なんといっても、かかったら顎が痛くて熱も上がり、予防接種をしておけば良かったのに…と思うことがしばしばです。水ぼうそうとおたふくかぜは１歳から受けることができますので、集団生活に入る前に受けておきましょう。
インフルエンザは予防接種を受けていてもかかる可能性がありますが、受けていると症状が軽かったり、脳炎や脳症になることはありません。６ヶ月から受けることができます。ただし流行する前（１１～１２月）頃です。
Q.副作用や副反応が心配ですが。
A.予防接種は日々進歩しており、色々な副反応を解決してきています。
インフルエンザが他の予防接種より副反応が強いと思われがちですが、そんなことはありません。三種混合などの不活化ワクチンと同じと考えてかまいません。
予防接種全般の副反応とその頻度はだいたい次のとおりです。
１） おもにみられる副反応（熱、注射部の腫れ、赤発、痛み） それでも数％ほどです。家で様子みていてかまいません。
２） 重い副反応（アナフィラキシー、脳炎、脳症） 数十万人～数百万人に一人（交通事故より少ない）。アナフィラキシーは接種後３０分以内に全身にじんましん が出て、呼吸困難になりいち早く適切な処置をしないと危険です。 しかし脳炎 脳症は、予防接種による副反応よりも、病気に実際かかったほうがそれになる確率はずっと高いのです。
Q.副反応がゼロではないのに、それでも予防接種は必要ですか？
A.必要です。
なぜなら、予防接種をせずにその病気にかかった方が、はるかに危険だからです。副反応を恐れるあまり、その病気の恐ろしさを忘れることがないようにしたいものです。
Q.けいれんがある子でも予防接種ができますか。
A.熱性けいれんであれば３ヶ月、てんかん性のけいれんでも症状がおちついていれば、主治医の許可があれば、けいれんから３ヶ月経っていれば接種可能です。
Q.アレルギーやアトピーでも予防接種ができますか？
A.ほとんどの人が大丈夫です。
まず、ゼラチンアレルギーに関しては、すべての予防接種でゼラチンを含まない会社のワクチンが手に入りますので、心配いりません。主治医に相談下さい。
また、卵アレルギーの方はインフルエンザワクチンだけが問題になることがありますが、その他の予防接種は問題ありません。しかも卵ですぐ蕁麻疹がでるひとは別として、湿疹が出る程度であれば、接種は可能と思われます。また、アレルギー検査で卵が異常値であっても、アトピーの原因の可能性があっても湿疹程度であれば接種可能です。心配な方は主治医に相談してください。
Q.三種混合は必ず３～８週以内に続けて受けないと、また最初からやりなおしですか？
A.いいえ、その必要はありません。
５～６ヶ月くらいあいていても、また途中にその他の予防接種を入れてもかまいません。とにかく、回数をこなすことが大切です。
予防接種についてわからないことがあれば、私どもに気軽に質問してください。いつ、どういう順番で受けたらよいのかなどもお答えできると思います。
