- 腱鞘炎について
- 投稿者:にのみや整形外科 二宮 康明
腱鞘炎とは
手指には腕の筋肉から腱というすじがのびており骨にくっついています。腱鞘とは腱を包むトンネルのような物で、指を動かす時は腱が腱鞘の中を行ったり来たりします。指を使いすぎると腱鞘に炎症が生じ、痛みのために指が使いにくくなります。長時間手指を酷使する人に起きやすく、中年の女性に多いのが特徴です。また20代の女性で妊娠や出産を機会に発症する場合もあります。
手首に起こる腱鞘炎と手指に起こる腱鞘炎
手首に起こる腱鞘炎(ドケルバン病)
手首の親指側にある腱鞘に炎症が起きて痛みを生じます。親指の使いすぎが原因です。指を曲げた際の引っかかりの症状が起こることはあまりないようです。
手指に起こる腱鞘炎(ばね指)
手のひら側の指のつけねにある腱鞘に炎症が起きて痛みを生じます。進行すると指を曲げた際の引っかかりの症状が出る事もあります。一番多いのが親指、次いで中指、薬指に起こります。人さし指と小指にはあまり起こりません。
もし腱鞘炎になったら?
まずは指を使い続けず安静を与えることが大事です。これで症状の改善がなければ整形外科を受診することをお勧めします。整形外科を受診して腱鞘炎と診断されれば、症状が軽い場合は消炎鎮痛剤の湿布や塗り薬を使っていただくことが多いです。症状がひどい場合はステロイドという注射薬を腱鞘のなかに注入することもあります。ステロイドの注射を数回行っても症状の改善がない場合や、すでに指を曲げた際の引っかかりがひどい状態の場合は小切開の手術で治療することが多いです。
腱鞘炎とは良く聞く言葉であり、実際に腱鞘炎の患者さんは非常に多いです。しかし腱鞘炎になっても病院にかからず、痛みの原因もわからないまま我慢してある方も多いと思います。ひどい症状の方でもステロイドの腱鞘内注射や小切開の手術で劇的に改善する方もたくさんいらっしゃいますので、手首や指の痛みで困っている方は近くの整形外科を受診してみてはいかがでしょうか。
平成23年9月