- 高脂血症
- 投稿者:河原内科クリニック 院長 河原 敏彦
<高脂血症とは?>
血液中の脂肪分が異常に多い状態を高脂血症と言いますが、大きく分けて、コレステールが高い「高コレステロール血症」と、中性脂肪が増える「高トリグリセライド血症」があります。食生活の欧米化に伴い、次第に高脂血症は増えつつあり、現在日本では2000万人以上の人が高脂血症であるといわれています。
<高脂血症になるとどうなるの?>
高脂血症をはじめ高血圧や糖尿病などはサイレントキラー(沈黙の殺人者)と言われ、たいした自覚症状も無いまま、次第に体を蝕んでいくのです。高脂血症を放置しておくと、動脈硬化症が次第に進行してゆき、心筋梗塞や脳硬塞、脳出血など生命にかかわる病気を起こしやすくなります。
コレステロールが正常値をこえ1割増えると、冠動脈(心臓の血管)疾患の割合が約1.5倍に増えると言われています。
<善玉コレステロールと悪玉コレステロール>
脂肪分は、血液中では、リポ蛋白という粒子状態で存在し、全身の細胞に運ばれます。このリポ蛋白の中身のコレステロールやトリグリセライドの分量とこれらの脂肪分を包む蛋白(アポ蛋白)の種類によっていろいろな種類のリポ蛋白に分けられますが、代表的なものがHDLコレステロールとLDLコレステロールで、HDLコレステロールは細胞で余ったコレステロールを除去する作用があり善玉コレステロール、LDLコレステロールは逆に細胞、特に血管に置いてくる作用があり、動脈硬化を助長するので悪玉コレステロールと呼ばれています。
高トリグリセライド血症の方では、しばしばこの善玉コレステロールが低く、レムナントというリポ蛋白が増え、動脈硬化を起こしやすいと言われています。
<高脂血症と言われたら>
運動療法、食事療法が大切です。ウオーキングなどを行い、肥満を防ぐことが大切です。また、医師や栄養士に相談し、カロリー過剰にならないように気をつけ、動物性脂肪や、卵類等コレステロールを多く含む食品は控えめにしましょう。
3ヶ月ほど運動療法や食事療法を行ってみて、改善の徴候が無い場合には、薬物治療を考える必要があります。