- すい臓の病気
- 投稿者:蒲池医院 院長 蒲池 壽
すい臓はおなかの中の奥、後腹膜後にあります。すい臓の役割は二つあり、その一つが外分泌機能でアミラーゼという消化酵素を分泌します。食べ物をアミラーゼで消化します。
もうひとつの役割は内分泌機能です。すい臓には内分泌細胞が集まったランゲルハンス島があり、インスリンを分泌しています。血糖値の上昇を防ぐホルモンです。
すい臓の病気には良性と悪性があり、前者には膵炎があります。膵炎はアルコール多飲によるアルコール性の膵炎、胆石症発作に併発する膵炎等があり、症状は上腹部痛、左背部痛、吐き気があります。すい臓が炎症を起こすと周りの臓器を解かしてしまい重篤であり入院治療が必要となります。アルコールの多飲はひかえましょう。
また胆石のあるひとも注意が必要です。後者には膵がんがあり、すい管(すい臓の中心にあり頭部、体部、尾部にあり)を構成しているすい管上皮から発生し膵頭部にできると黄疸があらわれ、徐々に腹痛を伴うようになります。すい臓の体部、尾部に発生すると黄疸を伴わない事があります。お腹の奥にあるので、発見しにくく超音波、CTで解らないような小さい癌でも転移を起こす事があり、進行が速いので、症状に気づいたときには手遅れということも少なくありません。
すい癌の検査は血液検査、腹部超音波検査、CTなどがあります。血液検査では血清アミラーゼ、腫瘍マーカーのCA19-9やDUPAN-2、SPan-1、エラスターゼ1等を測定します。上記症状、検査異常があればもっと精密な検査のERCP(胃カメラを使用して胆管膵管を描出する方法)を消化器科でしなければなりません。根治的治療法は切除しかありません。
現在、すい癌の健診事業はエビデンスがなく市町村では実施されていません。
腹部症状があればすぐに消化器科の先生にご相談して下さい。
平成23年1月