- 狭心症と心筋梗塞
- 投稿者:佐々木医院 院長 佐々木 一彦
心臓は全身に血液を送るポンプの働きをします。その心臓の心筋(筋肉)に酸素と栄養分を送る血管は、心臓を取り囲む冠動脈です。
この重要な冠動脈の障害によって起こる病気を虚血性心臓病といい、主に狭心症と心筋梗塞の2つがあります。
狭心症は冠動脈の一部が動脈硬化などで狭くなると、そこから心筋へ酸素や栄養分を運ぶ血液量が一時的に減って痛みが起こります。これが狭心症であります。ただし、放置すれば進行し冠動脈が完全に詰まり、心筋梗塞へ移行する可能性が高い病気であります。
心筋梗塞は冠動脈が動脈硬化によって狭くなったときや、血栓によって冠動脈が詰まった時に発生します 。 狭心症と大きな違いは、心筋梗塞では詰まった冠動脈の先の心臓が壊死してしまうことです。その結果、激しい胸痛などの発作が起き、時にはそのまま死に至ることがあります。
(1)狭心症の症状
主な症状は胸痛発作ですが「胸がしめつけられる」ような胸部の痛み、圧迫感です。ただし痛みは胸だけでなく、腕、肩、腹部(胃)などいたる所に起こり、痛む場所が特定しにくいこともあります。痛みの時間は数分から、長くても15分以内で治ることが多いようです。時に、糖尿病の人は発作を感じない人もいます。
(2)狭心症は発作の起こる条件によって2つのタイプがあります。
◎労作性狭心症-ふだんより激しい動きをする時、階段を上がる時など労作時に発作が誘発され、安静にすれば痛みが治るのが特徴です。進行した動脈硬化が原因になります。
◎安静時狭心症-動脈硬化があまり進行しなくて起こり、冠動脈の痙攣のため、血管が狭窄し、それが引き金になって発作が起こります。
安静時や睡眠中に発作が起こるのが特徴です。
(3)狭心症は発作の起こり方によって2つのタイプがある。
◎安定狭心症
一定の動作(労作)で発作が起こり、その発作が起こる時刻や状況、発作の強さがほぼ同じです。動作(労作)行動パターンをコントロールすることで発作を予防することができます。
◎不安定狭心症
発作が起こる状況、時間帯が特に決まっていないのが特徴。発作の強さも段々と重くなり、心筋梗塞に移行する可能性が高い狭心症です。
(4)心筋梗塞の症状
「胸がしめつけられる」ような激しい胸痛であり、それに伴って息苦しさ、冷や汗、吐き気、顔面蒼白などの症状に襲われることがあります。痛みは15分以上続く。このような症状・発作が起きたら、一刻も早く治療が必要になります。至急病医院へ行くことです。死に至る危険性が高い、不整脈、心不全を合併することがあります。
(5)狭心症・心筋梗塞の予防
高血圧、高脂血症(高コレステロール血症)、糖尿病、肥満、ストレスのたまりすぎ、喫煙などあればこれらの改善が大切。更に適度の運動を必ず実行することが大切です。