- 過敏性腸症候群
- 投稿者:平和クリニック 院長 平辻 良和
過敏性腸症候群はストレスとの関係が深く現代病ともいわれています。通勤、通学途中で、不意に腹痛が襲い、便意をもよおして、トイレに駆け込むが排便がなく、出てもコロコロしたうさぎのような便で、腹痛が続き困った。また、仕事のある日の朝食後に、お腹の具合が悪くなり下痢を起こし、下痢や柔らかい便が一日に数回おこり、便意は強いのに十分排便できないため、残便感や、不快感が残る。こういった症状は、ありませんか?
我が国では、思春期の10代と、仕事や育児のストレスにさらされやすい20代後半に発病することが多いようです。最近では、この病気は増加傾向にあり、アメリカでは消化器内科を訪れる患者さんの20%以上を占めていると言われています。
<病気の概略>
慢性の便通異常(下痢、便秘、排ガス等)を呈し腹痛を主訴とする腹部症状を訴え、症状を説明する器質的疾患(血液検査、および内視鏡等で異常が見られる)のない腸管の機能的疾患(腸の動きや吸収といった働きに問題のある)と言われています。
便通異常の種類によって、下痢型、便秘型、これらが交互に出る交替型の3つの型に分類されています。
下痢型は、男性に多く、先に述べた2番目の例が典型です。食事のたびに起こすのが一般的です。
便秘型は、女性に多く、先に述べた1番目の例が典型です。休日で仕事がなく、家でくつろいでいる時には症状は現れません。
交替型は腹痛を伴う下痢と便秘が交互に出るタイプです。最も多いタイプと言われています。
この病気はストレスとの関係が深く、心身両面からの総合的な治療が必要です。患者さん自身が病気を治すために取り組まなければいけないことは、食事療法と生活の改善です。
<食事の注意点>
暴飲,暴食をさけ、{腹八分目}でゆっくりとよくかんで食事とる。患者さんの腸はもともと、刺激に対して敏感ですから、冷たい飲み物、アルコール、香辛料の強い食品をさける。しかし、あまり、神経質にならず、消化のよい、バランスのとれた食事をするといった、リラックスした気持で取り組んでみてください。また、便秘型の人は、食物繊維の豊富な食品を、上手に組み合わせてみてください。
<生活上の注意点>
リラックスした生活をめざすこと。たまには、仕事、勉強から解放させ軽い運動や趣味で気分転換をはかり、ストレスを発散させましょう。完璧をめざすのではなく、いつも60点~70点で十分としてください。物事を、ポジテイブに考えましょう。食事時間を含め、毎日規則正しい生活を心がけ、一定の排便習慣をみにつけることも大切です。
<治療法>
自分で上手くいかないときは、消化器内科、心療内科の専門医に相談してみてください。薬物療法、心理療法が有効です。
平成22年1月