- 回復期リハビリテーション病棟とは?
- 投稿者:丸山病院 北島 敦子
リハビリテーションとは患者さんが持つ原疾患(脳卒中、頭部外傷、神経疾患、切断、廃用など)によって引き起こされた機能障害、能力低下、社会的不利などを、医師を中心とした専門職のチームによって改善を図るものです。世界的な流れはMobilityからQOLへ、つまり運動能力を高めることも大切ですが、それよりも生活の質(quality of life;QOL)を高めることに重点が置かれるようになってきています。リハビリテーション専門の病棟として多くの専門職が関わった回復期リハビリテーション病棟の制度が平成12年4月から生まれました。発症あるいは術後から数週間~6ヶ月が回復期といわれ、この期間に集中的にリハビリを行うことで最大限の回復が期待できると考えられています。
ここでは充実したスタッフ(医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師)によるリハビリをおこないます。入院できる対象疾患が決まっており、発症あるいは術後から2ヶ月以内(疾患によっては1ヶ月)の方を対象としています。入院期間も疾患別に60~180日と決まっています。リハビリチームが本人やご家族の意見を十分に聞きながら各人の病態にあわせてリハビリ計画書を作成し、これに沿ってリハビリを行います。定期的な評価とカンファレンスを行い、単に物理的に動くことが出来るかどうかだけでなく日常生活の中でいつも出来る日常生活動作(=している日常生活動作)を目指し訓練室だけでなく病棟でも訓練を行います。入院中可能なら外出、外泊訓練を行い問題点があればそれをリハビリに取り入れていきます。
また、医療相談員(社会福祉士などのメディカルソーシャルワーカー)を中心として、入院中より退院後の生活に向けて自宅を訪問させていただき住宅改修や福祉機器の選定や設置等を患者、家族、ケアマネイジャーと共同で行い退院後のデイサービスや訪問看護サービス等の橋渡しや実際の利用調整を行います。
つまり、損なわれた能力を再学習、再獲得して、在宅復帰、社会復帰を目指すのが回復期リハビリテーション病棟です。
回復期リハビリテーション病棟入院基準 H21.1.23改訂 | |||
疾 患
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発症から
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入院期間
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脳血管疾患
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2ヶ月以内
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150日以内
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脊髄損傷 | |||
頭部外傷 | |||
クモ膜下出血シャント術後 | |||
脳腫瘍 | |||
脳炎 | |||
急性脳症 | |||
脊髄炎 | |||
多発性神経炎 | |||
多発性硬化症 | |||
腕神経叢損傷等 (いずれも発症 又は 手術後) | |||
義肢装着訓練を要する状態 | |||
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害 |
180日以内
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重度の頚髄損傷・頭部外傷を含む多部位外傷 | |||
□
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大腿骨・骨盤・脊椎・股関節、又は膝関節 |
2ヶ月以内
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90日以内
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□
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2肢以上の多発骨折 (発症 又は 手術後) | ||
□
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外科手術または肺炎等の治療時の 安静による廃用症候群 (手術後または発症後) |
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□
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大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節の 神経、筋、靭帯損傷後 |
1ヶ月以内
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60日以内
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