一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • お子様の耳、あなたの耳 だいじょうぶですか
  • 投稿者:栗田耳鼻咽喉科気管食道科医院 院長 栗田 茂二朗

今回は、耳の病気とくに聞こえの悪くなる病気、その中でも各年齢層で頻度の高い病気の話です。

 

1.「うちの子、最近呼んでも返事しない。」し、「テレビの音を大きくする。」んです。

―滲出性中耳炎―
この病気は、乳幼児から学童期と、老人に多い病気です。子供の場合は、訴えがないため、母親が気づいてあげないと長く放置されていることが多くありますから要注意です。
滲出性中耳炎は、痛みはなく、鼓膜の中に液がたまり聞こえが悪くなる病気です。感冒のあとに引き続き起こったり、鼻・のどの病気(アレルギー性鼻炎、アデノイビ増殖、慢性副鼻腔炎など)がある方に多く発生します。長く放置していると、難治性の癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎になることがあります。

 

2.「人の話がわからない。」「耳だれが出て困る。」「鼓膜に穴があいている。」

-慢性中耳炎-
全年齢層にありますが、最近は中高年の方に多い傾向があります。
慢性中耳炎は、鼓膜に穴があいて聞こえが悪く、耳だれが出る病気です。この病気に対する治療の基本は、手術的に鼓膜をつくり、聴力を改善し、耳漏を止めることです。「耳だれ」をくり返していると、内耳にある聞こえの神経(蝸牛神経)が障害されますので要注意です。
この病気の大きな問題は、安全で確実な治癒の方法があるにもかかわらず、長年放置されている方が多いことです。

 

3.「おじいちゃん、おばあちゃん聞こえるね。」「話が出来なくて困るんですよ、うちの母。」「話がわからないのにうなづいたり、周りが笑うからつられて私も内容はわからないけど笑います。」
-老人性難聴-
この病気は、加齢的な部分が多くありますが、高齢化社会では、避けて通れない疾患です。本人の問題と同時に、話す側が注意するとかなりの部分は、今より改善します。

「父、母が聞こえが悪いので、ついつい大声を出して、早口になってトーンが上がるのです。」と言われる方が多くおられます。
老人性難聴の特徴は「音は聞こえているけれど、相手が何を言っているのかわからない。」という言葉の明瞭度の低下です。やたら大声を出しても効果はあまりありません。相手を見て「ゆっくり話して」みて下さい。今までとは別人と話しているように、話の内容が伝わります。
理解していなかったのは、自分の方かも知れませんよ。患者さん本人には、耳鼻科で検査していただくようおすすめします。

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