- C型慢性肝炎について
- 投稿者:倉岡外科内科医院 院長 倉岡 圭
C型慢性肝炎とは、C型肝炎ウイルスの感染を契機に、肝臓に慢性的な炎症を起こし、肝臓に障害を来す疾患です。
血液を介して非経口的に感染するウイルスであり、汚染血液製剤(最近はまれ)、透析、医療行為、刺青、麻薬などの静注薬物常用者、母子感染、性行為などが感染経路として挙げられます。しかし感染力は非常に弱く、母子感染、性行為感染による感染率は低率であり、薬物常用者、医療従事者の感染者数が多い傾向にあります。特にこの筑後地区は日本の中でも感染者数が多い地域とされています。
この慢性的な肝臓の炎症が持続すると、飲酒などの修飾因子にもよりますが、C型肝炎ウイルスに感染してから約40年後に肝硬変に移行すると言われております。肝硬変になるとおなかに水が溜まったり、感染しやすくなったりと、著しく生活の質が低下します。またその経過中に発生してくる肝細胞癌にも注意しながら経過を見ていくことが重要です。日本では平均して60代後半で肝臓癌が発生してくると報告されております。
そんなC型慢性肝炎に対する治療法は、肝機能をできるだけ正常に近づけることが重要となります。さまざまな治療法が行われておりますが、ウイルスを完全排除し得る治療法としては、インターフェロン治療しかありません。ウイルスの型、ウイルスの量によって治る割合が変わります。インターフェロン自体も以前の比べ進化しており、治療効果の高い種類のインターフェロンと抗ウイルス薬の内服による併用療法、またはインターフェロン単独投与療法が一般的です。治療期間もウイルスの型、ウイルスの量によって異なり、半年~一年間の治療期間を要します。しかしこの治療法も完全ではなく、100%治るわけではありません。日本人に一番多い1型でウイルス量の多いタイプ(難治性)は約50~60%のウイルス排除率であり、まだまだ満足いく結果は得られていないのが現状です。 これらの治療抵抗例に対しては、インターフェロン投与期間を延長するなどの工夫が行われております。また新しいタイプの抗ウイルス薬(プロテアーゼ阻害剤:HIVの治療などに用いられている)も治験段階であり、今後の商品化が期待されるところです。
また2008年4月より肝炎ウイルスに対する治療であるインターフェロン治療に対し、一部助成金制度が始まりました。これにより、非常に高額であった治療も身近な治療となったと考えております。また福岡県は肝炎ウイルス検査を無料で行っておりますので、気になる方や調べておきたい方は、気軽に医療機関を受診されることをお勧めいたします。
平成20年11月