- 難聴と中耳炎
- 投稿者：栗田耳鼻咽喉科気管食道科医院 院長 栗田 茂二朗
「聞こえ」は、耳の働きの中でも、最も大切な機能です。この「耳の聞こえ」が、中耳炎で悪くなることがあります。とくに子供、老人に多いため気が付かないことがありますので、注意が必要です。
以下各種の中耳炎について説明いたします。
①
痛みや熱が出ることが多く、耳のつまった感じがします。鼓膜がやぶれると、耳漏が出ます。
治療は抗生物質の内服や鼓膜切開が、必要です。
②
鼓膜に穿孔をみとめ、聴力低下が、あります。耳漏をみとめることもあります。
治療は、聴力を改善し、耳漏を止めるには、手術が必要です。
③
鼓膜の内側に滲出液が貯まる病気です。痛みはほとんどなく、聞こえが悪いのが特徴です。
治療は、薬や耳管通気、排液（切開、穿刺）を行います。
完全に治るまでには、多くの例が、時間がかかります。
④
滲出性中耳炎をくりかえし、鼓膜がへこみ、中耳の粘膜にくっついてしまう状態です。
治療は、耳管通気の他に、鼓室チューブ留置術や手術が必要なこともあります。
⑤
骨をこわして、髄膜炎や顔面神経麻痺、めまいを合併したりする危険な中耳炎です。 滲出性中耳炎が長く続いてもなりますが、聴力もあまり悪くなく、無症状のこともありますので、注意が必要です。多くの例には、においのある耳漏を伴います。
治療は、できるだけ早く、手術が必要です。
中耳炎に関係して聞こえが悪くなる病気は、主に以上の病気です。
聞こえに異常がある場合は、耳鼻咽喉科の専門医を受診して、ご相談するのが良いと思います。
平成20年7月
