- 子どもの睡眠と脳の発達
- 投稿者:きのした小児科クリニック 院長 木下 昇平
昔から「早寝早起き三文の徳」といわれていましたが、「得」というより「必要」であるということが科学的に立証されてきています。
生後3ヶ月頃までは、一日のうち、昼であろうが何時に寝ても起きても問題がありませんが、4ヶ月を過ぎてくると次第に夜寝る習慣が生まれてきます。そして4歳頃までには早寝、早起きの習慣をしっかり身につけることが必要と考えられています。
最近、共働きや夜間、子どもを連れ回す親などが多くなり、夜、 遅く寝たり、朝も遅くまで寝ていたりなど不規則な習慣が身に付いた子どもが増えています。
午前中に光を浴びずに、不規則な睡眠をとっていると、脳の発達に影響することが証明されています。たとえば、言葉が遅れたり、イライラしたり、人づきあいがうまくいかなかったりなどの症状がでることがわかりました。
科学的には、睡眠リズムが乱れると脳幹にあるセロトニン神経系の発達を妨げることが分かっています。セロトニン神経系の役割は情緒、発達、親子関係も含めた人づきあいにも関係しています。動物実験でもセロトニン神経系を弱くした動物は、正常の動物と一緒にした場合、情緒不安定となり攻撃的になることが知られています。
従って、午前中に十分な光を浴びておくことはとても大切なことなのです。すでに、病院治療も開始されています。午前6時に5000ルクスの光を毎日当て、なるべく午前中は起きてからも明るい光を浴び、午後9時には暗くして寝るということを1ヶ月ほどつづけると、睡眠覚醒リズムが改善すると言われています。
必要なことは
(1)夜9時までに寝る習慣を付けること
(2)朝、6~7時までには起きて午前中はなるべく明るい光を浴びること
(3)昼寝は9時に眠れる程度に調節する
(4)1日9時間ほど好きな時間に眠れば良いということではなく、早寝、早起きを繰り返し、リズムをつけることが大切です。
とにかく、早寝、早起きが必要であり、そのリズムを4歳までに確立させることが脳の働き(情緒、言葉の発達、人間関係など)には非常に大切であるということです。
平成17年10月