一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 中高年とスポーツ
  • 投稿者:菊池整形外科医院 院長 菊池 卓

一般的に40才以上を中年、65才以上を高年と云いますが、中高年では、生理機能、運動能力の個人差が非常に大きく、高齢になっても、色いろな競技に積極的に参加される人もいれば、成人病等の病気をかかえて、歩く事もままならない人もおられます。
この差は、長い年月を通じての生活環境の差、毎日の運動習慣等が積み重なって生じて来たものと思われます。
高齢者の願望としては、生理的な身体機能の低下は、やむをえないとしても、いつまでも自立し、積極的活動能力(社会活動)の保持の為の健康体力を維持し、機能低下を遅らせたいと云う事だとおもいます。

☆中高年の運動機能
加齢による運動機能の低下は、いなめないし、動きの速い運動、筋力を要する運動は不向きであります。また運動をする事によって、外傷、障害、疾病の原因となる可能性もありますので、十分留意したいものです。

 

☆運動器官の加齢変化について
1、骨の加齢変化(骨密度が減少し、骨がもろくなる)
中高年以降は、特に骨折をおこしやすく、骨折の部位としては、骨皮質が菲薄となり、海綿骨の骨梁も吸収されてもろくなっている所に好発します。(骨粗しょう症を基盤としたもの)
部位としては・・・
(1)橈骨遠位端部(手首)
(2)大腿骨頚部(もものつけね)
(3)上腕骨外科頚(腕のつけね)
(4)脊椎
(5)肋骨
等に起こりやすい。

2、関節の加齢変化(関節軟骨の変性、摩耗、関節間隙の狭小化、骨棘形成など)
筋機能の低下から、容易に関節の障害が起こり易く、特に荷重関節(膝、足関節など)に起こり易い。

3、筋・腱の加齢変化(筋萎縮、筋力の低下)
一般的に、筋、腱、靱帯、関節包、皮下組織を構成する、結合組織の硬化(コラーゲンの増量)によって、軟部組織の弾力性、伸展性が減少するため、身体の柔軟性が減少し硬くなり、筋肉疲労を起こし易く、回復も悪くなります。
又、腱自体の弾力性が低下すると、筋の伸展性も悪くなり、関節の動きにも影響してきます。

 

☆中高年にふさわしいスポーツ・運動とは
まず安全性があり、効果的で且つ楽しい事が条件となります。
その人、その人の目的と人生感、生活習慣、職歴などからくる身体の特性などにもより、多くの選択肢があると思われます。健康の為、スポーツを始める場合は、今まで運動習慣の無かった方は、必ずメディカル・チェックを受けてから、始める事が大事です。
色いろのスポーツ・運動の中で求められるのは、有酸素能力を回復する事であり、沢山の筋肉を使う運動が、効率が良く、特に全身の中でも多くの筋肉で占める、下肢を使う運動が推奨されます。

スポーツ・運動の種目としては・・・
テニス、 ゴルフ、 ボーリング、 ゲートボール、ウォーキング、ジョギング、ダンス、剣道、太極拳、踊り、山歩き、水泳等
この中でも、ウォーキングやジョギングは場所も選ばず、比較的簡単に誰でも出来ますし、非常に合理的な運動だと思われます。

 

☆中高年のスポーツ障害の予防
予防に特別なものはありませんが、強いていえば、スポーツ外傷の原因でもっとも多く、また大きな外傷に通じやすい転倒と衝突を避ける工夫をすることです。
又、具体的には体力、筋力の測定を定期的に行い、メディカル・チェックを定期的に受けることで、現在の身体能力の状態の推移を知っておく事が大切です。又、最後になりますが、運動時の注意としては、動きやすい服装に、良く合ったシューズを履く工夫、配慮が必要であります。

平成17年11月

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