- 大腸カメラ(大腸内視鏡検査)のススメ
- 投稿者:嶋田病院 外科 島田 幸典
今回のお話は、がんの中でも最も多い大腸がんに関わるお話です。是非みなさん、大腸がんの早期発見のためにも定期的に大腸カメラを受けましょう。
・大腸の構造
大腸は、長さが1.5〜2mほどある臓器で、部位によって結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)と直腸(直腸S状部・上部直腸・下部直腸)に分けられます。大腸は食べて消化吸収されて残ったカス(糞便)が通る所ですが、糞便を固くするために水分等を体内へ吸収する働きがあります。
・大腸がんの疫学
厚生労働省「全国がん罹患数 2016年速報」によりますと、大腸がんと新たに診断される人は、1年間に10万人あたり103人と言われています。年齢別にみると、40歳代から増加し、50歳代以降は高齢になるほど多くなります。小郡市だけで見ても、小郡市は6万人の人口ですので毎年新たに60人以上の方が大腸がんになっていると推測されます。大腸がんは患者数としては胃がんや肺がんよりも多く、現在最も多いがんになります。
・大腸がんの好発部位
大腸がんになりやすい部位としては、直腸とS状結腸と言われています。この肛門から近い大腸の部位だけで約7割の大腸がんが発生するとも言われています。残りの3割が他の部位からということになります。
・大腸がん検診
大腸がんは、進行が遅い、性質が比較的おとなしい、他の臓器に転移しても切除が可能といった特徴があり、治る可能性が高いがんと言われています。しかし大腸がんも進行しないと自覚症状が現れないことが多いですので、早期発見のためにも定期的な検診を受けることが重要になってきます。
自治体や職場で行われている大腸がん検診で、40歳以上の方に推奨されているのが便潜血検査です。便潜血検査では、採取した2日分の便を提出し便に血液が混じっていないかどうかを調べる検査になります。検査陽性になった場合は、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けることになります。
しかし、大腸がん検診として便潜血検査のみで十分かというとそうではありません。ある一定の割合で、大腸がんが実際に存在していても、便潜血検査で陰性となる方もいます。確かに便潜血検査は簡便ですから、検診として普及しています。ただ、便潜血陰性だけでは、大腸がんがないとは言い切れないことは知っておいてほしいと思います。
・患者様へ
とにかくまず一回は大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けましょう。
大腸がんを心配するなら、大腸カメラを一度受けることが望まれます。
「大腸がんの疫学」でも述べたように、40−50歳代から大腸がんは増えていきますので、この年齢の方で一度も大腸カメラを受けたことがないという方は是非一度検査を受けることをお勧めします。もちろんそれ以外の年代の方でも検査を受けることをお勧めします。一度、かかりつけの医療機関にご相談ください。
令和元年12月