- 胸の痛み 狭心症のお話
- 投稿者：大刀洗診療所 院長 橋本 朋也
胸が痛いとき、検査を受けて治療を考えたほうがいいものに狭心症があります。狭心症は狭い、心臓、症状と書きます、狭いのは何かというと血管の中です。心臓は筋肉の塊で縮んで広がってというのを繰り返して血液を全身に送ります。筋肉は動くために血管から酸素と栄養を受け取る必要があります。そのため心臓の表面には筋肉に酸素栄養を送る血管があります。上の図のように大動脈から左右に下に心臓を覆うように血管があります、これがその栄養血管で冠のように心臓を上から覆っているため冠動脈といわれています。
下の図のようにこの冠動脈のどこかが狭くなると血流が悪くなります。十分な酸素と栄養が受け取れないと症状として痛みを感じます。痛みは特に体を動かしたりして心拍数が上がり心臓が懸命に動いているときに症状が出やすいです。そのため「動いたときに胸が痛い、階段を上った後で胸が痛む」など体を動かした直後に胸が痛むといった症状が出やすくなります。
狭心症の最終段階が狭い血管が完全に詰まってしまう心筋梗塞です。血流がゼロになりますので心臓のその部分の筋肉は死んでしまい胸に激痛が走ります。太い血管が詰まるとそれだけ心臓の筋肉も広い範囲で死んでしまい時によっては命を落とすこともあります。
狭心症は心筋梗塞になる前に必ず病院にかかり治療をしてもらうことが望ましいです。現在は狭心症の治療はかなりの方がカテーテルによる治療で治ります。腕の血管もしくは足の付け根の血管に麻酔をしてからチューブを通し、心臓の血管まで持っていき風船で広げたり金網で広げた血管を再度狭くならないようにするように押さえたりなどといった血管内治療により治療を行います。全身麻酔も要りませんし、胸を開けたりもしないため体の負担が少なく治療ができます。
胸の痛みがある場合、特に動いた後に痛みが出るようなときは病院を受診して狭心症ではないか診察検査を受けることをお勧めします。
令和５年７月
