一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

弥生ファミリークリニック  院長 佐々木 一彦

  • 特定健康診査とメタボリックシンドローム
  • 投稿者:弥生ファミリークリニック  院長 佐々木 一彦

小郡市でも7月になると毎年特定健康診査(通称メタボ健診)が始まります。40才から74才のすべての医療保険等の加入者を対象に健診が行われます。

Ⅰ. 特定健康診査の目的

 この健康診査の目的内臓脂肪蓄積(メタボリックシンドローム)によって発症する生活習慣病を予防し、心臓病(狭心症、心筋梗塞)脳血管障害(脳卒中)を防ぐのが目的であります。
日本人の死亡原因はがんに次いで、2位、3位を占めるのが心臓病、脳血管障害であり、動脈硬化が進んで発症します。
その原因となるのがメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)であります。
40才から74才の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームの状態であると厚生労働省の報告もあります。
メタボリックシンドロームとは内臓脂肪型肥満、即ち内臓脂肪症候群のことであり、バランスの乱れた食生活や運動不足が原因で起る生活習慣病であり、内臓脂肪型肥満によって高血圧、高血糖、脂質異常症のうち2つ以上を合わせ持つ状態を云います。
内臓脂肪が蓄積すると脂肪細胞から動脈硬化を促進させる何種類かのホルモン等の物質が分泌され、その結果、高血圧、高血糖、脂質異常症などが引き起されます。するとそれらが要因となって、次に動脈硬化が起り、生活習慣病の原因となるのです。こうして動脈硬化になるリスクの高い人々を抽出して、日常生活を見直するための保健指導を受けていただくのが特定健康診査(通称メタボ健診)の目的であります。

Ⅱ. ではメタボリックシンドロームの判定基準を説明しましょう。

①腹囲(おへその高さの腹回り):男性85㎝以上、女性は90㎝以上の基準値以上が最初の判定基準になります。
②血中脂質:中性脂肪150mg/dl以上、または/かつ HDLコレステロール40mg/dl
③血圧:収縮期圧130mmHg以上 または/かつ 拡張期圧85mmHg以上
④空腹時血糖値:110mg/dl以上

判定は①に加えて、②③④の2項目以上が該当すればメタボリックシンドロームと判定診断します。
(注)特定健康診査で実施されている判定基準値はメタボリックシンドロームの判定基準より低く設定されています。

Ⅲ. メタボリックシンドロームを解消するためには。

 メタボリックシンドロームの人は高血圧、高血糖、脂質異常症が複数重なると動脈硬化が進み、放置しておくと、心臓病や脳血管障害の危険性が高まります。初期にはほとんど自覚症状がないのがメタボリックシンドロームのこわさです。

 メタボリックシンドロームの解消には、食生活の改善と運動を毎日の習慣にすることが大切です。日常生活のなかで適度の身体運動を続けることです。内臓脂肪を減らすにはウォーキング、水泳などの有酸素運動を勧めます。
次にバランスの取れた食生活が大切です。主食(ごはん)、主菜(魚、肉、卵等)、副菜(野菜等)を1日の中でバランスよく摂り、脂肪分の多い食事、肉食、甘い物は摂りすぎに注意し、食物繊維は積極的に摂りましょう。
またタバコは動脈硬化の大きな原因となります。タバコに含まれているニコチンは血管を収縮させるコレステロールを増やしますので禁煙の実践も必要です。

Ⅳ. 特定健康診査(通称メタボ健診)を受けましょう。

 体重や腹囲は自分で測定することが出来ますが、コレステロールや血糖値等の血液検査は受診しなければわかりません。特定健康診査を毎年1回受けることによって食生活の改善、運動の効果を知る機会であり、情報提供レベル、動機付け支援レベル、積極的支援レベルと云った保健指導の項目があり、自分では気づきにくい生活パターンのゆがみを理解し、自分で立て直すための情報が提供されますので、特定健康診査を受けましょう。

平成26年9月

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