- 自宅で筋トレ
- 投稿者:権藤内科循環器科 院長 権藤 秀之
高齢になり転倒すると大腿骨の骨折をきたし寝たきりの原因になることはよく知られています。転倒の多くは体幹下肢筋力の低下やバランス力の低下によるものです。また、筋力と筋肉量は正の相関がある(筋肉が多ければ筋力も強い)こともわかっています。そこで中高年になったら筋肉量の増加、あるいは維持を図ることが大切です。
ウォーキングやランニングもよい運動ですが、筋肉量増大にはあまり効果がありません。筋肉量を増やすためには圧負荷をかける必要があります。ウエイトトレーニングや筋トレと呼ばれるものです。スポーツジムに通ってマシントレーニングをすることももちろん有効ですが、時間帯や往復の時間それに会費などいくつかの制約があります。そこで自宅で筋トレをしてみてはいかがでしょう。畳1畳分の広さがあればいつでもできます。大切なことは場所をとる器具を買わないことです。
まず腕立て伏せ。両手を肩幅より少し広めについて前腕と上腕が90度になるまで曲げて伸ばします。これを20回、3セットしましょう。体幹部は一直線になるように心がけましょう。これで腹筋と背筋も同時に鍛えることになります。力に余裕がある人は胸部を床すれすれまで下げてこれを行います。余裕のない人はちょっとだけ曲げるだけでも良いでしょう。
次にスクワット(蹲踞)。腕を頭部の後ろまたは胸の前で組み、上体を伸ばしたまま下肢を曲げます。大腿部が床と並行になるまで曲げて伸ばします。大切なのは体重が常にかかとにかかるようにすることです。前のめりになるとひざに負担がかかって膝関節を痛めます。30回を2セットしましょう。
腹筋も大切です。ひざを曲げて手を頭の後ろに組んで肩甲骨が床から離れるまで(ほんの少しです)曲げて5秒保持。20回を3セット。昔(昭和の時代)学校で先輩たちにしつけられたように上体を起こしてしまう必要はありません。腰痛の原因になります。
もう一つ、手足交差挙上をやってみましょう。まず四つん這いになって右手と左足を同時に水平の位置まで挙げます。この時足は蹴りだすような動作で行います。20回したら今度は左手と右足で同じような動作を行います。20回を3セット。
上にあげた4つの型のうち2つを選択して1日1~2回毎日行います。朝夕の着替えの時がいい機会になります。目覚めのコーヒーもいいけれど目覚ましの腕立て伏せもいいですよ。2か月続ければ体の変化が実感できるでしょう。
ご注意 上にあげた運動量は標準体型の筆者が限界の一歩手前と感じた経験値ですので皆さん自分の体型や体力に応じて適宜変更してください。また、高血圧や動脈硬化などの内科疾患、関節痛などの整形外科疾患がある方は運動の適否についてかかりつけ医にご相談ください。
平成26年7月