閉塞性黄疸

いけだクリニック
院長 池田 秀郎


 今回は、閉塞性黄疸とその治療を中心にお話したいと思います。
 黄疸とは、赤血球を構成するヘモグロビンの分解代謝産物で黄色の色素であるビリルビンが血液中に増加した結果、眼球結膜と皮膚黄染をきたした状態を言います。ミカンやカロチンの多いニンジンジュースなどをたくさん摂って手のひらが黄色くなる柑皮症とは全く違うものです。

 黄疸は内科的治療が中心となる内科的黄疸と外科的処置が必要な外科的黄疸(閉塞性黄疸)の2種類に分類することができます。内科的黄疸の原因は、溶血性黄疸(赤血球崩壊の増加)、薬物やアルコール摂取、甲状腺機能低下症、長期の絶食、慢性心不全、体質性黄疸(Gilbert症候群)、急性肝炎、慢性肝炎、代償性肝硬変などで、これに対し外科的黄疸(閉塞性黄疸)は、胆管系の閉塞や狭窄によリ起こる黄疸で、原因としては、胆管結石、一部の胆嚢結石、腫瘤形成性膵炎、良性胆道狭窄、良性胆管腫瘍、胆管癌、膵頭部癌、乳頭部癌、胆嚢癌、肝癌、胃癌のリンパ節転移などがあります。

 内科的か外科的かの鑑別は、以前は肝機能検査によって行われていましたが、現在では腹部超音波検査がもっとも簡単で確実な方法です。閉塞性黄疸の診断率はほぼ100%であり、閉塞部位診断は90%以上、閉塞原因診断も60%程度はできます。

 ここで胆管系について説明しましょう。肝臓からは一日に約1リットルの胆汁が分泌されています。胆管とはこの胆汁が流れる管で、肝臓の中の胆管を肝内胆管と言い、徐々に合流し太くなりやがて肝臓を出ると左右各1本の肝管となります。これらが合流し肝外胆管と呼ばれる一本の管となり、膵管と合流して十二指腸に開口しています。肝外胆管の途中に胆嚢からの胆嚢管が合流しており、これより肝側の肝外胆管を総肝管、これより十二指腸側を総胆管と言います。胆汁のおもな成分、胆汁酸と胆汁色素(ビリルビン)でコレステロールやリン脂質も含まれています。一度胆嚢で濃縮貯蔵された後、総胆管を通って十二指腸に流出した胆汁は、膵液とともに胃からきた食物を中和し、脂肪を乳化してリパーゼの働きを助ける。また、脂肪の吸収を促進する働きを行っています。

 閉塞性黄疸の患者さんでは出血傾向が出現し、消化管出血の危険性が高まり、また肝・腎障害などの重大な合併症を併発することが多く、また胆道に感染を合併すると、急激な経過をとり、ショックや意識障害を伴う重症胆管炎へ移行する場合もあり、早急な減黄減圧処置が重症化防止に必須です。減黄減圧処置として経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)、経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)、内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(ERBD)、胆嚢外瘻等の方法があり、迅速かつ確実に行う事が大切です。失敗は許されません。

私たちが行っていた経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)の手技を説明しましょう。 超音波誘導下に、拡張した胆管(一般的に肝左葉肝内胆管)に対し、穿刺針を用い皮膚および肝臓を通して穿刺し、ガイドワイヤーでドレナージチューブを胆管内に挿入し、このチューブを介して胆汁を体外に排出することで減黄減圧を行います。ただし、もともと出血傾向のある症例や、高度の腹水を認める症例では、出血やドレナージチューブの胆管からの逸脱の危険が高く禁忌とされています。

減黄期間中に必要な諸検査を行い、肝機能の改善する3〜4週間後をめどに血清総ビリルビン値5mg/dl以下で開腹手術を施行するのが基本です。しかし、胆嚢摘除術のために開発された腹腔鏡下手術はその後徐々に適応が拡大され、総胆管結石にも行われるようになり、ごく最近では胆管癌等の胆道系悪性疾患にまで試みられようになってきています。また、ドレナージチューブを用いた胆石除去や、手術不能例に対する姑息的治療としての内瘻化も行われています。

 最後に、今回は私が大学勤務医時代に研究していた閉塞性黄疸と経皮経肝胆道ドレナージについてお話しました。少し専門的な話しになってしまいましたが、黄疸を疑ったらすぐに、また普段から時々は腹部超音波検査を受けられることをお勧めします。

平成17年2月