一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 子宮不正出血と帯下(おりもの)について
  • 投稿者:高橋クリニック 院長 高橋 一石

初経前の出血、月経以外の出血、閉経後の出血、及び妊娠中の出血をその量の多少にかかわらず、すべて不正出血といいます。
赤ちゃんの性器出血を
新生児出血と云い、母親の女性ホルモンが赤ちゃんの体内から消退していく事による、一種の消退出血で一週間位で自然に止まります。(新生児月経)とも言います。
 初経前の出血は性早熟症等が疑われます。小児科、婦人科での診察を受けられる事をお勧めします。
 思春期の出血はホルモンのバランスが不安定な時期の機能性の出血の場合があり、更年期の不正出血と同様で不定愁訴等も加わり、心身上も表裏一体の様に思われます。
 排卵期の出血(月経前2週間前後の出血を云う)この出血は卵胞ホルモン(エストロゲン)が排卵を促す為に一旦、その分泌量が減る事による一種の消退出血と言われています。
 性交の後の出血、接触出血については、腟頚部、又は腟粘膜びらん、ポリープがある場合、性交の刺激で出血する事もあります。勿論、子宮癌初期の事もありますので、婦人科診療が必要です。
 無月経後の出血は、妊娠の可能性のある方は、流産を考えて必ず診察を受けて下さい。
 更年期以後のダラダラと続く長引く出血は萎縮性腟炎(老人性腟炎)や子宮筋腫、子宮体癌等が考えられます。専門医の受診を必要とします。
尚、
月経周期とは、月経開始日より次回月経開始前日までの日数を云います。正常範囲は25~28日の間にあり、その変動が6日以内と定義されている)
 頻発月経とは月経周期が短縮、24日以内で発来する月経を云います。
 希発月経とは月経周期が延長し、39日以上、3ヶ月以内で発来した月経を云います。
不正周期とは、前記の正常周期に当てはまらない月経周期を云います。
 機能性子宮出血とは、器質的疾患を認めない出血を云い、多くは内分泌異常によるか、稀に血液疾患によるものも有ります。器質性疾患、特に子宮癌の否定の診察は必要です。
“おりもの”は、本来誰にでもあるものです。性器からの分泌物(帯下、こしけとも云う)を指します。外陰部の皮脂腺、バルトリン腺、汗腺からの分泌や腟内の上皮細胞からの滲出液や子宮頚部からの粘液などが混じったものです。健康な人であれば誰にでもあるものです。量は年齢も含めて、個人差があり他人と比較して正常、異常を判断する事は出来ません。健康な”おりもの”は透明に近い白色かクリーム色です。下着について時間が経てば黄色っぽく変わります。弱酸性なので、やや甘酸っぱいような臭いの事もあります。卵胞期より排卵後の黄体期のほうが、黄色っぽくなる事もあります。又、排卵期は頚管粘液が増える為、”おりもの”の増量を感じる方も多いようです。
 病気による”おりもの”は外陰部の痒みと同時に、ヨーグルト状、又は酒カス状の ボロボロとした”おりもの”になります。黄色が強く泡沫状の”おりもの”の場合トリコモナス等が考えられます。又、腟の自浄作用が衰えた時など細菌性腟炎も考えられますが、その混合感染、或いは症状が比較的少ないクラミジアや淋病も考えられますので、自己判断せずに婦人科専門医の診察が必要です。
 自己管理に関して最も有用なのが基礎体温を記録する習慣です。それにより婦人科以外の疾病も含め、体調にも手軽で有用な情報をもたらしてくれるのです。
まずは、御自分の為に記録してみてはいかがでしょうか。

 追記・この度の東日本震災で亡くなられた方々の、ご冥福をお祈りいたします。
又、被災された方々へのお見舞いを申し上げ、早期復興を願っております。

平成23年5月

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