- 星状神経節近傍照射
- 投稿者:徳富クリニック 院長 徳富 康男
星状神経節ブロックの有効性は以前より若杉文吉先生(元東京慈恵会医科大学麻酔科教授) により報告されていました。その効果は痛み、麻痺、血行障害を伴う疾患のみならず自律神経系、内分泌系、免疫系の広範囲にわたる疾患に有効であることを紹介してこられました。
しかし、これまでの局所麻酔剤の注射による方法での星状神経節ブロックは、それに伴う危険性(局所麻酔剤によるショック、注射針による出血、感染、その他)の心配がありました。その為に、ごく限られた疾患、即ち、頭頚部や上肢に痛みや麻痺などの後遺症をひきおこす「重症の帯状疱疹」等の疾患にしか積極的には実施されてきませんでした。
近年、科学技術の発達のおかげで生体に有用な、すぐれたレーザー光が開発されました。それを利用することにより、安全で無痛のうちに星状神経節ブロックに近似した効果を得られることを北海道大学医学部麻酔学の剣物修教授が日本医師会雑誌に紹介されました。
また、近赤外線治療器「スーパーライザー」にも同じような効果が在る事が紹介されました。
このような光線(波長が近赤外線の範囲)による星状神経節近傍照射の特徴は以下の通りです。
長所は、これまでの方法(局所麻酔剤の注射)による星状神経節ブロックに比べ、無痛で安全です。心配性の患者さんや抗凝固剤を服用中の患者さんにも安心です。一回の治療時間が10分前後で治療後すぐに帰宅できます。
短所は注射によるブロックより即効性に乏しく、治療回数も多く必要な事です。