一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • これからの新型コロナウイルス感染症について
  • 投稿者:梯 医院 院長 梯 龍一

 令和2年に突然登場し、世界中をパンデミックでのみ込み、パニックを引き起こした新型コロナウイルス感染症も、令和5年5月に感染症法の改正で、特別な病気からインフルエンザと同等の取り扱いとなり、それから1年経過し皆さんの日常生活もほぼコロナ前に戻ってきていると思います。このコロナ騒動はいったい何だったのでしょうか、これから私たちは何に気を付ければいいのでしょうか。この原稿は令和6年6月に書いていますが、現時点でのコロナの現状をご説明します。
 このウイルスの起源は諸説あり確定されていませんが、中国の武漢から拡まったのは事実で、未知のウイルスでしたので、世界中がパニックの様相をなしました。どこで、どのようにして感染するのか分からないのが一番困った事で、有名人が突然亡くなって大きなニュースにもなりました。自分自身が罹るのも怖いし、自分から人に感染させてしまうのも怖いし、外出や人と会うのを控えるようになりました。仕事もリモート中心になり、友人との会食もなくなり飲食業界をはじめ各産業とも経済的に大打撃をうけました。
 このウイルスは人から人へ飛沫感染します。発症前日より感染力がありますので、誰から感染するか分かりません。人と密に接触しないことが最大の予防法であり、この3年間のコロナ対策は決して間違いではなかったと思います。そしてコロナウイルス自体もどんどん変異していき、現在のオミクロン株は感染力は強いままだが、重症化リスクは徐々に減ってきており、限りなくインフルエンザに似てきました。令和5年5月の感染症法改正で5類に分類となり、法的にもインフルエンザと同等の取り扱いとなりました。マスク着用も個人の判断となり、人が集まる事も飲食する事も、ほぼコロナ前に戻りました。そこでコロナ問題はもうなくなったのでしょうか。現状を考えていきたいと思います。

 

① コロナウイルス感染症は今後もなくならないでしょう
 インフルエンザは毎冬に流行し、学校では学級閉鎖が数多くみられ、高齢者は重症化する病気です。コロナウイルス感染症もインフルエンザ同等で、感染したら5日間は自宅に居なければならず、職場や学校でクラスターが発生します。体力のない人は重症化することもあり、感染したくない、感染させたくない病気であることに変わりありません。またインフルエンザと違い、コロナウイルス感染症は1年中ある病気で、真夏でも流行する可能性があります。必ず高熱になるわけでもないので、熱の高さはあまり関係なく、発熱を伴うかぜ症状があれば、コロナか否かの検査をうける事をおすすめします。

 

② 感染を恐れる必要はありませんが、感染しないことが重要です
 コロナウイルスに感染しても現在は軽症ですむケースが多いですが、中には入院加療が必要な重症例もあります。またコロナウイルス感染症の後遺症の問題もあります。後遺症とは感染後3ヶ月経った時点にもみられるものとされており、疲労感、倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下等多岐にわたります。症状の多くは時間の経過とともに改善することが多いと報告されており、現在様々な研究、対策が講じられております。

 

③ たとえ感染しても他の人に染つさないようにしましょう
 まず早めに診断をうける事が重要です。現在のコロナウイルス感染症は微熱で経過するケースもあるので、発熱を伴うかぜ症状があったら、早めに受診してください。そのためには日頃からいろいろな相談もできるかかりつけ医を持ちましょう。コロナ検査は鼻に綿棒を入れるので少し痛いのですが。数分で結果がでます。もし身近な人に感染させた場合、潜伏期間2~3日で発症します。

 

④ マスクは必要に応じて着用しましょう、時にはエチケットとして
 マスクの着用は個人の判断になり、日常生活でマスクをされてない人も多く、これは全く問題ありません。ただ、コロナ感染が飛沫感染である以上、マスク着用は大きな感染予防対策である事は間違いなく、感染流行の情報がある時や、人が多いところに行く時はマスクの着用をおすすめします。また、自分自身がかぜ気味の時はコロナであるないに関わらず、エチケットとしてマスクの着用をしましょう。

 

⑤ コロナ感染予防対策で最も大切なこと
 自分自身が感染するかしないか、重症化するかしないかは、ウイルス側の問題であると同時に体側の問題でもあります。抵抗力、免疫力が弱っている場合は簡単に感染し重症化してしまいます。そのためには体力を落とさないように、疲れをためない事、睡眠を十分とる事、食事をバランスよくとる事など、当たり前の事が大事になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令和6年7月

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