- めまいとは
- 投稿者:ヨシタケ脳神経外科クリニック 院長 吉武 靖博
おそらくめまいは誰でも一度は経験したことがある症状ではないでしょうか。ぐるぐる回る回転性めまいを経験した方は、もう死ぬんではないかと訴えられて来院される患者さんもおられます。そこでめまいを少しでも理解して頂きたいと思い以下に記載してみました。
めまいは症状で大きく分けて回転型、動揺型、失神型の3つに分類されます。
1.回転性めまい:自分や周囲がぐるぐる回る、天井が回るなど表現されます。
2.動揺性(浮動性)めまい:体がふらふら、うかうかする、宙に浮いた感じ、船に揺られている感じと表現されます。
3.失神性めまい:目の前が暗くなる、頭から血が引く、気を失うなどがみられます。
次にめまいを障害部位で分類しますと末梢性と中枢性があります。
1.末梢性めまい:めまいの50~60%を占めます。内耳神経(三半規管、耳石器)の障害で起こります。めまいの程度は高度で回転性が多く、体位変換で悪化し、耳鳴り、難聴、嘔気、嘔吐を伴うことがあります。疾患は良性発作型頭位性めまい症、前庭神経炎、メニエール病、突発性難聴、外リンパ瘻、内耳炎などがあります。なかでも良性発作型頭位めまい症の頻度が高いようです。
2.中枢性めまい:めまいの約20%です。主に脳幹、小脳の障害で起こり、めまいの程度は中程度以下で非回転性が比較的に多いと言われています。顔面や四肢のしびれ、脱力、言語障害、意識障害など脳神経症状を合併することがありますので注意を要します。疾患は脳幹・小脳梗塞や出血、椎骨脳底動脈血流不全、多発性硬化症、小脳橋角部腫瘍、脊髄小脳変性症、脳幹脳炎などがあります。
3.その他のめまい:約25%を占め、末梢性、中枢性の障害を併せ持つ混合性めまいや原因不明のめまいがあります。低血圧、高血圧など血圧異常が原因となることもあります。
日常診療では超高齢化社会となり、高齢者のめまいが増えている印象がありますが、高齢者は高血圧、糖尿病、高コレステロール血症に心臓、腎臓疾患などの基礎疾患を複数持っておられる方が多く、めまいの原因も多岐にわたっています。また若~中年層では心身のストレスが誘因のめまいも増加しています。
めまいはごくありふれた症状ですが、原因を突き止め、診断をつけることがなかなか難しいことがあり、脳神経内科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、循環器/腎臓内科、心療内科など多くの専門領域での診断と連携診療が必要となる病気なのです。
めまいの原因は末梢性めまいで特に良性頭位性めまい症が多くを占めていますので、過度の心配をされず、まずは、かかりつけ医に相談されることをお勧めします。しかし少数でも生命に関わる危険なめまいを見逃してはなりません。物が二重に見える、言葉が出づらい、物が飲み込みづらい、顔面の麻痺、手足のしびれなど脳神経の症状を合併した場合は、脳神経専門医を受診して頂くことをお勧めします。
平成25年3月