一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • めまいについて
  • 投稿者:石田医院 石田 清和

暑い夏を過ぎて、めまいを訴えて来院される方が増えてきています。しかし、患者さんの言う「めまい」の種類はさまざまで、その原因にもいろいろな病気があります。ここではめまいの種類とその原因についてお話しします。

 

めまいの種類
めまいには大きく分けて回転性のめまいと、そうでない(非回転性)めまいがあります。具体的には下に示す種類があります。

<回転性めまい>
周囲がぐるぐる回って見えるめまいです。一番ポピュラーなめまいの症状です。
<動揺性めまい> 体がぐらぐらするようなめまいで、よく「くらくらする」と訴えて来院されます。歩くときに不安定な感じがすることもあります。
<浮動性めまい> からだがフワフワと浮いているような感じのめまい。よく「体が宙に浮いたような感じがする」や、「雲の上を歩いているような感じ」と訴えて来院されます。
<立ちくらみ> 立ち上がった瞬間にクラクラッとしたり、目の前が暗くなる感じのことをいいます。これを眼前暗黒感といいます。お風呂から上がったときや、男の方が立ったまま排尿したときにおこることもあります。

 

原因について
上記の症状は様々な原因で起こります。原因となる病気をそれぞれのめまいについてまとめると以下のようになります。

回転性のめまいを起こす代表的な病気
・メニエール病(耳鳴りや難聴を伴い、なんどもめまいの発作を繰り返す)
・突発性難聴(突然耳の聞こえが悪くなる)
・前庭神経炎(激しいめまいが起こり、めまいがなおってもふらつきが続く)
・中耳炎によるめまい(昔から中耳炎があり、耳だれが時々でる)
・椎骨脳底動脈循環不全(高血圧症や動脈硬化症がある)
・脳出血や脳梗塞(脳の下の部分,小脳や脳幹でおこる)

動揺性めまいを起こす代表的な病気
・上記の回転性めまいを起こす病気の慢性期
・薬物によるめまい(服薬後におこる)
・聴神経腫瘍(片方の耳の聞こえがだんだん悪くなり,歩くとふらふらする)
・脊髄小脳変性症

浮動性めまいを起こす代表的な病気
・上記の回転性めまいや動揺性めまいを起こす病気
・精神的なストレス
・眼精疲労や調節障害

立ちくらみを起こす代表的な病気
・起立性低血圧症(立ち上がると血圧が下がる)
・起立性調節障害(成長期の子供にもおこる)
・薬物によるもの(高血圧や心臓病の薬など)
・貧血や脱水症など

 

一番多いのは耳に関係した病気ですが、その他にも高血圧や動脈硬化によるもの、病気ではないが症状としてあるものもあります。しかし一番注意しなければならないのは脳に関係した病気です。
めまいの他に下に述べた症状があるときは、かかりつけの先生に相談して詳しい検査を受けて下さい。

激しい頭痛や手足がバタンバタンとひきつる発作(けいれん)がおきた。
手足に力が入りにくい、あるいは手足がうまく動かない。
体の左右どちらか一方、あるいは顔の片側とその逆側の首から下の部分の感覚がおかしい。
ものが二重に見えたり、手足の先がしびれる。
意識(または記憶)がなくなった。
物が見える範囲が狭くなったり、暗い部分がある。

これらの症状があれば、脳の病気が隠れている可能性があります。

 

治療について
今まで述べてきたように、一口にめまいと言っても多種多様な症状があり、めまいを引き起こす病気もさまざまです。一般的にはお注射や内服薬でめまいの症状を軽くしたり、吐き気や嘔吐があれば点滴をしたり吐き気を軽くするお注射、内服薬を使います。
しかし治療の基本は、何が原因でめまいが起こっているのかをはっきりさせ、その病気あるいは体の状態を直すことです。

 

最後に
めまいは患者さん自身で判断するのが難しい症状です。症状が軽くてもかかりつけの先生にご相談下さい。

 

平成17年3月

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