一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • スギ花粉症の新しい治療の紹介
  • 投稿者:萩尾耳鼻咽喉科医院 院長 萩尾 良文

スギ花粉症は、今や日本人の約20パーセントが発症している国民病です。患者さんは、体の免疫機構が花粉に過剰に反応し、くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目の痒みなどのつらい症状を引き起こします。治療法は、対処療法(抗アレルギー剤の内服など)が一般的ですが、根本的治療ではありません。
対して、免疫療法(減感作療法)は、公的保険適応の唯一といっていい花粉症の治療です。この方法は体質改善のため約2年間、週に1~2回通院して、皮下注射を受けなければなりません。
そこで、減感作療法のマイナス要因(通院回数、注射が痛い)を改善した治療法が、舌下免疫療法です。方法は、スギ花粉(抗体)のエキスを舌下から患者さんのからだに吸収させる方法です。治療は、自宅で行えます。早い人では投与開始3週間の治療で効果があるようです。
「なぜ、舌下から抗原エキスを投与するのか?」と、疑問をもつ人もいるでしょう。
舌下から吸収された、抗原エキスは、あごの下の左右リンパ節に届きやすくなります。
リンパ節はアレルギー反応に深い関係のある免疫機能を持っています。それも顔に近いリンパ節であることも重要なポイントです。それは、スギ花粉症の症状が、鼻と目に集中しているからです。
治療効果は、約80%と高い有効率を得ています。しかしながら現在のところ保険診療の対象外の治療です。(相場は1シーズン5~6万円)
しかし、朗報があります。早ければ2014年の花粉シーズンには、自己負担が3割で済む公的保険で舌下免疫療法を受けられるようになるかもしれません。

平成25年11月

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