一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • パニック障害ってどんな病気?
  • 投稿者:松尾医院 院長 浦江 美由紀

<概要>
パニック障害では、思いがけないときに突然、動悸や息切れ、強い不安を伴うパニック発作が生じます。
そしてパニック発作が繰り返されるうちに、発作に襲われることに対する予期不安や発作が生じる状況に対する広場恐怖を感じるようになり、毎日の生活に支障をきたすようになってしまいます。治療が不十分で病気が進行してしまうと、うつ病やうつ状態になるおそれもあります。
このような不安や恐怖は、「考えすぎ」や「心配性」など気持ちのもち方や性格の問題と思われてしまいがちです。
しかし、パニック障害は脳の働きが普段のときとは変化しているために、医学的な治療が必要な状態であることが最近の研究でわかっています。
パニック障害は100人に1人はかかるといわれており、だれでもかかるおそれのある病気です。前向きに治療しましょう。

 

<パニック障害になりやすい人は?>
パニック障害の患者さんは、「女性」「若年者」「一等親(親、兄弟、同胞)がパニック障害」の場合に多いことが知られていますが、だれでもかかる可能性のある病気です。

 

パニック障害の症状

パニック障害の症状は、以下の順に進行しやすいです。

<パニック発作>
思いがけないときに突然生じる、動悸や息切れ、強い不安を伴う発作です
パニック発作はパニック障害の中心となる症状です。
突然、激しい不安と動悸や息切れなどのさまざまなからだの症状が、何回も繰り返しあらわれます。
発作が生じると、「このまま死んでしまうかもしれない」と不安になることが多いのですが、実際にはパニック発作で死ぬことはなく、10分程度で激しい症状はおさまります。

 

 

<パニック発作が起こりやすい生活シーン>

 

<パニック発作のきっかけとなる生活上の出来事>
疲れていて体調がよくなかったり、緊張していたりするとパニック発作が起きやすくなります

 

<予期不安>
パニック発作が生じることに対する不安です
パニック発作を繰り返しているうちに、「また発作が起きるのではないか」という強い不安(予期不安)をいつも感じるようになります。
予期不安は毎日の生活の大きな妨げになります。


<広場恐怖>

パニック発作が生じる状況に対する恐怖感です
パニック発作を経験すると、以前に発作を経験した状況が怖くなってしまいます(広場恐怖)。 広場恐怖を感じると、それらの状況を避けるようになってしまいますので(回避行動)、生活の行動範囲が狭くなり、毎日の生活が妨げられてしまいます。

 

<うつ病・うつ状態>
パニック障害を発症すると、うつ病・うつ状態を併発することがよくあります
パニック障害が発症して長びくと、うつ病やうつ状態を併発することがよくあります。これはパニック障害の患者さんが心身の不調を気に病んで落ち込みうつ状態になりやすいというだけではなく、うつ病もパニック障害と同じように、脳内セロトニンの働きの低下が関係しているからです。
うつ病では、「食欲がない」「眠れない」「楽しくない」「自分には価値がない」「憂うつで気分が沈む」などの症状があらわれます。

 

令和2年12月

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