- パーキンソン病
- 投稿者:ヨシタケ脳神経外科クリニック 院長 吉武 靖博
パーキンソン病は中脳にある黒質と言われる部分の神経細胞がなんらかの原因で少なくなり、身体を動かすために神経に命令を送るドパミンという物質が不足することにより発症すると考えられています。パーキンソン病の患者数は日本では人口10万人につき約100人と言われています。通常遺伝することはありません。ただし40歳以前にパーキンソン病を発症する若年生パーキンソン病は家族性に現れることがあります。
パーキンソン病の症状は手などが振るえる、筋肉が固くなる、動作が遅くなる、姿勢を保つことが困難になる、これらの4大症候が現れます。そのほかに小刻み歩行、すり足歩行、一歩目が出ずらいなどの歩行障害のためよく転倒するようになります。声が小さくなる、食べ物を飲み込みにくくなる、便秘、トイレが近い、よだれが出るなどの生活関連症状がみられます。また元気がなく顔の表情は乏しくなり仮面様顔貌を呈しますのでしばしばうつ病とまちがわれることがあります。
パーキンソン病の診断は専門医が診れば、代表的な症状を持つ患者さんではさほど難しくはありません。診断が確定できない場合は、パーキンソン病の治療薬であるLドーパを投与し症状が改善するかを診たり、患者さんの経過を診る場合もあります。
パーキンソン病の治療は、くすりによる治療が中心になります。治療薬によりドパミンの不足を補い症状をなくそうとするわけです。パーキンソン病の基本的なくすりは6種類あり患者さんの症状に合わせて適したくすりを組み合わせて使用します。また、くすりによる治療に運動療法を併用することで、より大きな効果が期待できますので適切な運動療法を継続して行うことが大切です。くすりによる治療を行っても症状が改善しない場合は外科療法を行うことがあります。
公的援助の対象になりうる患者さんは、身体障害者福祉法に基づく支援、特定疾患(難病)指定に基づく支援、介護保険制度による支援が受けられます。特定疾患の認定基準は多くの自治体でヤール重症度分類Ⅲ度以上、日常生活能力Ⅱ度以上の中等度・重症の場合となっており、パーキンソン病以外のパーキンソン症候群は対象外となっています。詳しくは脳神経の専門医や最寄りの行政の福祉の窓口にご相談下さい。
平成19年9月