一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

田中内科医院  院長 田中 泰之

  • リウマチ性多発筋痛症について
  • 投稿者:田中内科医院 院長 田中 泰之

動きが悪くなったのはもともとの病気や年齢のせいですか?

リウマチ性多発筋痛症とは

リウマチ性多発筋痛症は60歳以上の高齢者に起こる原因不明の病気です。体の中心に近い部分(肩、腰周囲、上腕、大腿)の左右対称な筋肉の痛みやこわばりが主な症状です。診察ではそれらの筋肉の圧痛を認め、血液検査では高度の炎症反応を認めるのが特徴で「筋肉のリウマチ」といわれる先生もいらっしゃいます。男女比は1:2とやや女性に多いといわれまれな病気と考えられていました。

当院での経験

このまれなリウマチ多発筋痛症を当院では最近2年間で5例経験しました。診断しやすい患者さんもいらっしゃいますが、膠原病や頸椎症合併やゆっくりした進行で患者、家族あるいは当方がもともとの病気のせい、年のせいと考えてしまい診断が遅れた場合もありました。いずれの症例も特効薬であるステロイドを内服することによって翌日から改善し1週間後には全く元の状態改善し患者本人および家族よりと非常に感謝されています。ステロイドという特効薬がありますが、見逃していたら寝たきりにつながる病気です。2名の患者さん経過を提示しますので、御自身あるいは御家族が体の動きが悪くなった時リウマチ性多発筋痛症の可能性を考えるときの参考にしてください。
なお、リウマチ性多発筋痛症の詳細についてはこのHPでの提示はページ数が多くなりすぎるため困難ですので、下記HPを参照ください。

患者1 80歳台男性 典型例

高血圧症等にで当院外来通院中の患者さんです。徐々に動きが悪くなってトイレが間に合わなくなったとの訴えにて来院されました。両側の上腕・大腿の筋肉に圧痛を認めリウマチ性多発筋痛症を疑い血液検査を実施したところ中程度炎症所見(CRP5.7)を認めステロイド(プレドニゾロン20mg)投与開始1週間で症状・炎症所見の著名な改善を認めました。その他症状としては食欲減退・全身倦怠感がありました。この患者さんは1年半の経過でプレドニゾロン1mgまで減量できましたが、再び動きが悪くなり現在プレドニゾロン5mg内服中です。

患者2 80歳台女性 頸椎症と考え診断が遅れた症例

頸椎症・心臓の手術等でベットおよび車いす生活で当院より訪問診察をおこなっている患者さんです。週4回の通所リハビリテーションで折り紙を使って飾り箱やコマを作ることを楽しみにしてありましたが、両腕の痛みから徐々に飾り箱やコマが作ることができなくなりさびしく過ごしてありました。整形外科では頸椎症とのことで痛み止めや局所注射が行われましたが、改善をみとめずいよいよ落ち込んでありました。訪問診察時両側の上腕および大腿の筋肉に圧痛を認めリウマチ性多発筋痛症を疑い血液検査を実施したところ中程度の炎症所見(CRP5.5)を認めステロイド(プレドニゾロン10mg)投与したところ以前のように飾り箱やコマを作れたと非常に感謝されました。現在約1年の経過でプレドニゾロン2mg投与中です。

リウマチ性多発筋痛症の情報
公益財団法人 日本リウマチ財団 リウマチ情報センター リウマチ性多発筋痛症
http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm120/kouza/kyosai.html

平成24年3月

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