- 下肢静脈瘤とは?
- 投稿者:浜崎外科整形外科医院 院長 浜崎 恵
脚の表面に血管がモコモコと瘤のように膨らんで曲がりくねっているのを見たことがあると思いますが、これが下肢静脈瘤です。軽いものだと網目状やクモの巣状に血管が拡張した静脈瘤もあります。出産後の女性に多く、年をとるに従って増加します。美容師さんや理容師などの立ち仕事をする人に多いと言われています 。
脚の静脈には弁があります。血液は脚から静脈を通って心臓にもどりますが、この弁が重力による血液の逆流を防いでいます。弁が壊れると血液が脚の下の方に溜まってしまい、静脈瘤の原因となります。
症状
まず、見た目が悪く、美容上の問題があります。他に、脚のだるさ、疲れや痛みもあり、脚がよくつったり、むくみが出る人もいます。皮膚炎や湿疹が起こりやすく頑固な痒みも伴います。ひどくなると皮膚が黒褐色に色素沈着し、傷つきやすく、また治りにくく潰瘍になることもあります。
治療
保存療法
寝る時に脚を高くしたり、長時間の立ち仕事を避けたり、弾性ストッキングを着用する事が勧められますが、これらは進行や再発防止にはなりますが、静脈瘤はなくなりません。
手術療法など
静脈抜去手術(ストリッピング手術)
足首と脚のつけねに2箇所の皮膚小切開を加え、この2箇所で悪くなった静脈を捉え、これに手術用のワイヤーを通して静脈瘤もろとも引き抜く手術です。昔から行われている再発が少ない確実な手術ですが、約1~2週間の入院が必要な事や、手術後の出血、感染、知覚障害などの合併症が問題になることがあります。
硬化療法
静脈瘤がある血管に硬化剤を注入し静脈瘤を固めてしまう治療です。注入後に静脈瘤は小さくなり消えていきます。入院の必要がなく、外来でできますが、確実な治療ではなく、注入部の静脈炎を起こしたり、後で再発する可能性が高い治療法です。
レーザー治療
まだ一般的ではなく、行っている施設も少ないのですが、最近レーザー治療がかなり有効であると注目されています。静脈瘤の原因になっている悪くなった血管の中にレーザーファイバーを挿入して血管の内側を焼ききってしまう治療法です。血管は完全に破壊、閉鎖し数ヶ月で繊維化してしまいます。結果的には、血管を引く抜くストリッピング療法と同じ効果が得られるという方法です。外来で出来て効果がかなり確実な有効な治療法だと期待されていますが、まだ、新しい治療法であるため長期的な治療効果が解らない事や、保険診療の適応ではなく、自費診療で治療費がかなり高価になります。
平成19年1月