- 乳がん
- 投稿者:協和病院 院長 亀井 英也
乳がんは、かつては欧米の女性に多く、日本の女性には少ないがんでしたが、近年日本でも急激に増えてきました。食生活の欧米化に伴い、動物性脂肪を多く摂るようになったことが増加の一つの原因だろうといわれています。
乳がんにかかりやすいタイプとして、年齢は40~50歳代の人に最も多く、初潮が早く閉経の遅い人、高年初産の人、未経産の人、肥満の人、家系に乳がんのある人などに発症しやすい傾向があり、これらは危険因子と考えられています。
乳がんの症状で最も多いのは、乳房にしこりを触れることです。しこりの形や硬さはいろいろですが、通常痛みはありません。また乳房の皮膚にへこみやひきつれができたり、乳頭の向きが変わったり、陥没したりすることもあります。また、黄色や褐色の分泌物がでたり、腋窩リンパ節を触れることもあります。
乳がんのできやすい部位は、乳房の中央と、その周囲を四等分して表しますと外側上部、すなわち腋窩に近いところが半数を占め、次は内側上部に多くみられます。
乳がんは、他の内臓にできるがんと違って、体の表面に近く浅いところにできますので、乳房の自己検診を定期的に行っていれば、ごく早期に自分で見つけることのできるがんです。
自己検診法は、鏡の前で自分の乳房に変化がないかをよく見、次にあお向けに寝て、手の指をそろえ指の腹を使って、乳房全体をくまなく押すように撫でるようにしながら、しこりの有無を調べます。この時、指先で乳房をつままないようにすることが大切です。30歳になったら、毎月生理が終わって4~5日後に、閉経後の人は日を決めて行います。危険因子を持つ人は積極的に自己検診を行ってください。
乳房にしこりを見つけても、すぐにがんだと早合点してはいけません。乳房の病気は、がんだけではありません。20~30歳代の若年層では、ほとんどが線維腺腫であり、30~50歳代の人では乳腺症のことが多く、これはいずれも良性腫瘍です。しかし、しこりは異常ですので、見つけたら一日も早く専門医を受診してください。
病院でも、視診、触診が大事な検査ですが、必要により超音波検査やマンモグラフィーやサーモグラフィー、さらに乳頭異常分泌物の細胞診、しこりの穿刺吸引細胞診や外科的に切除し組織のがん細胞の有無をみる生検などを行って診断します。
小郡市でも集団検診と医療機関検診が行われていますので、毎年受診するようにしてください。