- 光干渉断層計(OCT)と緑内障
- 投稿者:橋本眼科医院 院長 橋本 雅晶
緑内障は視細胞(光センサー)と脳を繋ぐ網膜神経線維がすり減って視野狭窄を生じる病気です。
網膜神経線維は網膜の表層1/3に存在し(図1)、OCTはその厚みを測定する器械です。
初期の緑内障性視野狭窄を生じた時点で視神経は50%障害を受けています。
OCTは緑内障初期の網膜神経層欠損を検知できますので視野狭窄を生じる前に緑内障を早期発見できます。これを「前視野緑内障」と呼びます。
逆に緑内障末期ではOCT像に変化は見られないためOCTではなく視野測定の結果で緑内障の進行度合いを判定することになります。
眼圧が正常でも正常眼圧という攻撃因子に耐えられず緑内障が進行する「正常眼圧緑内障」が日本人には多いのですがそこでOCTが早期の診断に威力を発揮します。
緑内障の早期発見のために以下の緑内障危険因子に該当する方は眼科でOCTの検査を受けてみてください。
高眼圧(最重要)・強度近視・遠視(目の長さが短く隅角が狭い)・中高年・家族歴・喫煙・睡眠時無呼吸症候群(血中酸素濃度低下)・高血圧(視神経乳頭の動脈硬化で血流低下)
図1 網膜の厚みは0.3㎜。その表層を走る網膜神経線維が帯状にダメージを受けて欠損し網膜が菲薄化した状態です。
図2 黄斑を中心に9㎜四方で網膜を撮影したOCT画像です。正常部位を緑、神経繊維の菲薄化部位を黄色や赤で表示しました。本症例では視神経乳頭の4時から5時の部位で視神経が障害を受けそこの網膜視神経繊維が菲薄化しています。
図3 乳頭から黄斑に最短距離かつ最大多数の神経を走らせるため神経線維は図のように走行しています。下方の神経が障害されると上方の鼻側の視野が狭窄しますが上方の神経が正常なので下方の視野は温存されています。
令和元年7月