- 光干渉断層計(OCT)・その1 糖尿病黄班症編
- 投稿者:橋本眼科医院 院長 橋本 雅晶
体内臓器に対しエコー(超音波検査)にて断面像を描く事が出来ますが、画質が不良で詳細な所見が不明でした(症例1)。眼球の透明性を利用して超音波の代わりにレーザー光を当てて反射光を解析することで詳細な網膜の断面像を得ることができ、技術革新とともに高画質化が成し遂げられました(症例2)。今回は糖尿病網膜症に併発する糖尿病黄班症について症例を提示します。
症例1:網膜剥離と黄班下血腫の超音波エコー像
症例2:正常例
網膜の中心を黄班(白丸)と呼びますが、そこには視力を司る光センサー細胞が集中しています。
黄班の中心である中心窩はわずかに凹んでいます。
症例3:蛍光漏出を伴う糖尿病黄班浮腫
黄班部全体に網膜肥厚を認め、同部位に毛細血管瘤や硬性白斑、網膜出血を伴っています。(白丸)
早期では毛細血管瘤が多発しており(白丸)、後期ではその周辺に広く蛍光漏出を認めます。(矢印)
断層像では中心窩に嚢胞様腔(※)を認め周囲の網膜も肥厚しています。矢印部分の高反射粒子状病変は硬性白斑の前駆段階です。
症例4:嚢腫状黄班浮腫
透明な網膜は一見して異常無しに見えますが実はスポンジのようにスカスカでした。
早期では造影剤の漏出源は不明ですが(白丸)、後期では同部位にびまん性蛍光漏出及び嚢胞様腔への蛍光貯留を認めます(白丸)。
断層像では中心部に嚢胞様腔(※)が多発し肥厚しています。
黄班に浮腫や白斑沈着を生じると歪んで見えたり暗く見えたり視力低下をおこしたりします。病状が長期化すると非可逆性の黄班萎縮を生じます。
治療としては1)抗VEGF抗体硝子体注射2)ステロイド硝子体注射3)網膜光凝固術4)硝子体手術・・・があります。
参考 http://www.dme-eye.com/
平成27年10月