一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 副鼻腔炎(ちくのう症)の話
  • 投稿者:たなか耳鼻咽喉科医院 院長 田中 久志

副鼻腔は、鼻腔に接続する空洞で顔面骨の中に存在します。最も大きい空洞は頬骨の下にある上顎洞で、その他、前額部分の前頭洞、眉間にある篩骨洞など左右合計8個の副鼻腔があります。
風邪(上気道炎)の炎症が副鼻腔に波及し、空洞内部に膿がたまった状態を副鼻腔炎又はちくのう症(蓄膿症)といいます。
風邪の後に急激に発症した場合を「急性副鼻腔炎」、急性症状が遷延化して3ヶ月以上続く時は「慢性副鼻腔炎」と称しています。
いずれの場合も多彩な症状(①~④)が認められます。
①鼻閉、鼻漏(後鼻漏):膿性鼻汁(黄色い粘りのある鼻水)が生じますが、咽頭に鼻汁が流下する「後鼻漏」とよばれる状態もしばしば認められ、しつこい痰がらみの咳の原因になり得ます。
②頭痛、頭重感、顔面痛、歯痛、眼の奥の痛み等:激痛がする場合もあり、脳神経外科や歯科の先生から紹介される症例も多々あります。うつむいた時に痛みが悪化するのが特徴です。
③嗅覚障害:匂いが分からない、悪臭がする、風味障害(匂いも味も分からない)等の症状が起こる場合があります。「慢性副鼻腔炎」の場合は、鼻茸(鼻ポリープ)が鼻内に出来て、そのため嗅覚障害が生じている例もあります。
④微熱が続く:37℃台の微熱が続く時、副鼻腔炎が原因の事があります。
治療は、A)保存治療とB)手術治療があります。
A) 保存治療は、外来通院で鼻処置(鼻汁吸引や鼻洗浄)、ネブライザ―による薬液噴霧等を施行し、同時に抗生剤・消炎剤の内服処方を行います。「慢性副鼻腔炎」の場合は少量のマクロライド系抗生剤を長期間(3ヶ月程度)使用する事もあります。
B) 手術治療は「慢性副鼻腔炎」が対象になりますが、昔の歯茎を切る手術と違って、今は内視鏡手術が主流(ほぼ全例)になっています。従って手術の負担も軽くなり、術後の顔面の腫れも生じません。

平成27年3月

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