- 動悸・息切れ
- 投稿者:梯医院 院長 梯 龍一
皆さんは「動悸・息切れ」と聞いて、まず何を思い浮かべますか。電車に遅れそうで走って飛び乗った時、階段の途中で一休みしているお年寄り、人前で緊張した時、はたまた「心臓に○○」のテレビコマーシャル…。
動悸を定義しますと、「日ごろ自覚することのない心臓の拍動を自覚し、不快に感じること」です。心臓は1分間に約60回、1時間に3600回、24時間では実に8万回以上も動いているのです。では、動悸がしている状態というのは、すべて心臓病なのでしょうか。動悸は心臓病以外でも、過労状態、高熱時、貧血、低血糖、甲状腺ホルモンが多い時、肺の病気、薬の副作用、心因性などで起こります。ここでは心臓の病気を考えてみましょう。
動悸の原因を知るうえでは、脈が速くなっているか?脈の乱れがあるか?を調べることが大切です。これは自分自身でも簡単にできます。右手のひらを上に向け、左手の人差し指・中指・薬指の3本で、右手首の親指側の動脈に軽く触れます。1分間に何回脈が打っているか、乱れはないかがすぐわかります。
①速く規則正しい動悸…脈拍数が100回までなら、心臓病以外の原因である可能性があります。また、突然発作的に起きて脈拍数が150回を超えるようなら、発作性頻拍症の可能性があります。
②遅く規則正しい動悸…脈拍数が40回以下になると、回数の減った分強く感じられます。心臓内での電気信号の伝わりがブロックされるためで、意識を失うことさえあります。
③脈の乱れを伴うもの…いわゆる一般的な不整脈です。脈がとぶ感じ、一瞬心臓が止まる感じを自覚します。
動悸を体験した時に最も大切なことは、動悸以外にどういう症状があるかということです。例えば胸痛があれば、初期の心筋梗塞、狭心症かもしれません。労作時に動悸がおきたり息切れを伴う場合は、心不全かもしれません。手足にむくみはないでしょうか。動悸より息切れの方が強く、唇の色が悪ければ肺の病気かもしれません。たばこを多く吸う人、普段から咳やたんが出る人は要注意です。
動悸は心臓が原因で起こることが多く、中には軽症で放置しても自然に治まることもありますが、強く起こった時にはどうしようもなく苦しく、もしかすると初期の心筋梗塞など、すぐに処置を必要とするものかもしれません。「これは普通じゃない動悸だな」と感じたら、かかりつけの医師の診察を受けることをお勧めします。