- 動脈硬化の予防対策は生活習慣の改善から
- 投稿者:佐々木医院 院長 佐々木 一彦
動脈硬化とは、動脈の老化に加えて、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、肥満、喫煙、ストレスなどの要因が重なり動脈が硬くもろくなったりすることをいいます。
動脈硬化を予防するには、動脈硬化をもたらす要因(危険因子)になる病気を予防することです。そのためには、食生活の見直しと適度な運動、禁煙に取り組むことです。
生活習慣の改善のポイント
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1. 減塩 2. 野菜や果物を積極的にとり、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える 3. 適正体重の維持 4. 運動療法 5. アルコール制限 6. 禁煙 |
1. 食生活の改善
●塩分制限。
●食物繊維を豊富に含む緑黄色野菜,海燥類を摂る。
●コレステロールの多い食品を減らす。
●動物性食品を控えめにして、魚類や植物性脂肪を多く摂る。
●過度の飲酒は、血液中の中性脂肪を増加させ、血圧も上昇させるので飲酒は控える。
※日本酒では一合程度、ビールは大ビン一本、ウイスキはダブル一杯。
2. 適正体重の維持(BMIの利用法)
肥満があれば、さまざまな生活習慣病の引き金になります。一般に体重1Kg減らすと総コレステロールか約10mg/dl減ると云われています。肥満かどうかを正確に判定する方法はいろいろ有り、確立していませんが、最近は適正体重(標準体重)を判定する一つの目安として、BMI(Body Mass Index 体格指数)が用いられています。国際的に認められた計算式です。B M Iの求め方は、
BMI(体格指数)=体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)
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適正体重(Kg)=身長(m)×身長(m)×22
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身長と体重から自分の体格指数BMIを求め、BMIが22のときが最も病気になるリスクが少なくなり、BMIが25以上の場合を肥満と判定されます。
BMIが25を超えると、高血圧、糖尿病等の生活習慣病になる危険度が高いと云うことになります。ただし、肥満=病気と言うわけではありません。BMIはあくまで肥満度の指標です。BMIが25以上だから医学的に減量を要する状態ではありません。
肥満のある人(BMIが25以上)のうち、肥満による健康障害がある人(高血圧、糖尿病、脂質異常症、冠動脈疾患、脳梗塞等)、内臓脂肪蓄積の認められる人が肥満症と診断されます。減量の初期目標量は、現在体重の10%程度を目標にして始めましょう。
3.食事量(腹八分目の食事量)の目安 : 適正エネルギー量の目安
食べすぎに注意し、一日のエネルギー摂取量を「腹八分目の食事量」として算出し食生活を正しましょう。
一日の適正エネルギー量の目安は適正体重に25k~30kカロリーを掛けた数値が、一日に摂るべき適正エネルギー量となります。減量が必要な人や運動量の少ない人は25を、減量が必要ない人や運動量の多い人は30を掛けます。
適正カロリー(K)の目安=適正体重(Kg)×25~30(kcal)
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<計算例> 身長160cmで体重65kgの人の場合 BMI=65kg÷1.6m÷1.6m=25.3 (18.5まで:やせ/18.5~25:普通/25~肥満) 適正体重=1.6m×1.6m×22=56.3kg (適正体重56.3Kg<体重65Kgなので減量が必要) 適正カロリーの目安=56.3Kg×25~30=1407.5kcal ※25kcalの場合 |
4.運動量法(体活動の増加)
運動には、高血圧、糖尿病の発症を抑える効果があり、運動することによって善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増加させ、中性脂肪を減らし脂質異常症(高脂血症)を改善すること等が証明されています。
① 運動の種類
有酸素運動の中でも手軽に出来るウオーキング、水泳(水中ウォーキング)、サイクリングなど、長時間続けることの出来る運動が良いでしょう。
② 運動の強度
運動の効果が十分に得られる強度は、その人の最大運動能力の半分程度と云われています。
運動の強度の目安にする方法には、脈拍(心拍数)を目安にする方法と、自分の運動中の感覚から運動の強度を知る方法があります。年齢によって異なりますが、中高年の場合は出来るだけ脈拍数と自分の感覚の両方をたよりに運動の強さを調節しましょう。
● 脈拍(心拍数)を目安にする方法
運動中の一分間の脈拍数=138-(年齢÷2)
※歩行中に脈拍数を測定して、スピードを調節することも必要です。
● 自分の運動中の感覚から運動の強度を知る方法
「楽である」~「ややきつい」の感覚の運動の範囲で少し汗ばむ、軽く息がはずむ程度で、しかも隣の人と会話が出来るくらいの強度が理想的と云われています。
③ 運動の量と頻度の目安
一日にまとめて何時間も運動するよりも、毎日30分程度、あるいは一週間に3回以上、1回に30~60分程度行うと効果的です。
④ 運動するときの注意事項
● 運動の種類や量は医師に相談の上決めましょう。
● 体調の悪いときは休みましょう。
● 運動の前後には、必ず準備運動(ウォーミングアップ)と整理運動(クールダウン)を。
● 汗をかいたら水分を補給しましょう。
平成20年11月