- 夜間頻尿の最近のトピックス
- 投稿者:山下泌尿器科医院 冨安 克郎
夜間頻尿は、高齢化社会の到来とともに2000年ごろより注目されるようになりました。それ以前の考え方とは、明らかに異なる時代となりました。以前は、夜間頻尿は、前立腺肥大症の症状の始まりと漠然とした位置づけでしたが、明らかにそれだけでは説明がつかないことが多いのです。夜間頻尿は、高齢者の生活の質を大きく損なう病態であり生存率にも影響を及ぼす病態です。泌尿器科の疾患というより全身疾患です。
夜間頻尿は、一般的には夜間の排尿回数が2回以上であることをさしています。それは、夜間頻尿による、生活の質の低下が、1回の場合と2回の場合では、2回以上の場合が急増するからです。従って、 夜間の排尿回数が、2回以上になることを夜間頻尿と呼びます。
夜間頻尿の原因は、高血圧、糖尿病などのいわゆるメタボリック症候群といわれるものが、代表的に上げられています。原因から考えても夜間頻尿の原因として夜間多尿(夜間の尿量が増える状態)が深くかかわっており、夜間頻尿の約70%に夜間多尿がかかわっています。夜間トイレに行くようになるのは、尿をためる量が減ったのではなく、夜間の尿量が増えたことが原因であることが多いのです。
夜間多尿は、24時間尿量のうち、夜間尿量が多い状態をさしますが、夜間多尿の原因としては、水分の過剰摂取があげられます。薬剤の関与もあげられており、血圧の薬などがその原因としてあげられています。高血圧自体にも夜間多尿の原因となることもあります。
夜間排尿のために2回以上起きるようになったら、もっとも簡単な自分でできる検査法として排尿記録があります。これは、一日の排尿の記録です。排尿した時間と、その時の尿量を計測し、記録することです。使い捨てのコップにメモリをつければ、立派な計量コップに変わりますのでこれを利用してはいかがでしょうか。病院に行く前にぜひ一度やってください。
睡眠障害も夜間頻尿の原因としては、大きな要素になっています。睡眠障害があるから夜間頻尿になるのか、夜間頻尿があるから睡眠障害になるのか、鶏と卵のような命題ではありますが、少なくとも睡眠導入剤を投与することで夜間頻尿が改善することが確認されていますので、睡眠障害が、夜間頻尿の原因のひとつになっているのは明らかです。
夜間の排尿回数が2回以上になったら、一度医療機関で相談されてはいかがでしょうか。
平成27年7月