- 女性の月経前の体調不良について
- 投稿者:さとう産婦人科 理事長 佐藤 典生
近年、女性医学の啓もう活動などにより月経前の体調不良の認知が広まり、
月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)や
月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder : PMDD)を主訴で
産婦人科を訪れる方が増えています。今回は月経前の体調不良をきたすPMS・PMDDについてお話します。
『PMS ・PMDDとは』
PMS : 「月経前3~10日間に発症する多種多様な精神的あるいは肉体的症状で、月経発来とともに減弱あるいは消失するもの」
PMDD : 「精神症状が主体で抑うつ症群が著しいもの」と定義されています。
『症状と診断』 過去3か月の月経前5日間に、下記の症状のうち少なくとも1つを有する場合はPMSと診断されます。 以下の項目に当てはまるものにチェック ☑ して下さい。
月経前症候群 ( PMS ) チェックリスト
[精神症状] [身体症状]
□ 眠気 □ 倦怠感
□ 抑うつ □ 乳房の張り
□ 怒りの爆発 □ 肌荒れ・ニキビ
□ 過食 □ お腹の張り
□ イライラ □ 頭痛
□ 不安 □ 四肢のむくみ
□ ささいな事で不機嫌になる □ 下痢・便秘
□ 混乱 □ 体重増加
□ 社会的引きこもり □ 関節痛・筋肉痛
症状が有っても、約6割の女性が対処法・治療法を知らず、「仕事や家事学校を休むことはできない」と我慢され、産婦人科を受診されていない女性が約9割いるのが現状です。特に症状により日常生活に支障をきたされている方は、早めの受診をお勧めします。
『治療』
治療には、ホルモン療法(ドロレスピン含有の超低用量ピル)、精神症状が主体の場合は、向精神薬療法(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が有効とされています。
また漢方療法も、症状改善の効果にかなり期待ができます。
令和6年11月