- 家庭血圧を測り高血圧、動脈硬化を予防しましょう
- 投稿者:弥生ファミリークリニック 院長 佐々木 一彦
高血圧は脳卒中(脳梗塞、脳出血)や心筋梗塞につながる動脈硬化の要因です。
自分の血圧は自分で管理し、動脈硬化を予防することが重要であり、家庭血圧測定でしっかりと血圧を管理することが大切です。
高血圧の要因からお話しを進めて行きます。
高血圧の要因
高血圧は、これといった症状がないうちに発症し、進行していくところに高血圧の怖さがあります。高血圧症になりやすい人は、食塩の過剰摂取、肥満、喫煙、運動不足、ストレス等の要因があり、生活習慣病が深くかかわっています。
高血圧で最も問題になるのが動脈硬化を引き起こすことです。動脈硬化とは、血管の弾力性がなくなり、血管の内腔が狭くなる状態でなり、また動脈硬化は血圧を上昇させるのです。動脈硬化が進行すると、心臓では狭心症、心筋梗塞、脳では脳梗塞、脳出血等が発症して来ます。また高血圧は腎臓にも負担をかけ、腎機能の低下が起こって来ます。
家庭血圧測定でわかる高血圧のタイプ
血圧は常に一定ではなく、一日のうちでも、朝と夜、日中と睡眠中、運動などによって変動しているのです。起床前後から徐々に高くなり、日中は高く、夜間の睡眠中は下がっているのが通常です。しかし家庭血圧測定にて日中の血圧は正常範囲でも、夜間や早朝の時間帯に血圧が高くなっている人が多くいることもわかって来ました。
危険な高血圧の発見は、心臓、脳、腎臓の重大な病気の予防に重要です。
家庭血圧を測定することによって、病院での診察室血圧ではわからない血圧のタイプがわかって来ました。
①白衣高血圧
家庭で測る家庭血圧値は正常範囲で安定しているが、診察室で測ると高血圧を示すのが白衣高血圧です。
診察室では緊張して一時的に血圧が高くなった結果であり、本当の高血圧ではなく、治療の必要はありません。
②仮面高血圧
診察室で測った血圧では正常範囲でも、家庭で測ると高血圧値を示すことがあります。この血圧を仮面高血圧と云い、このタイプの血圧は脳梗塞、脳出血等になりやすいと云われており注意が必要です。
③早朝高血圧
起床後には、通常、血圧は徐々に高くなって来ますが、起床直後に急激に血圧が高くなるタイプの血圧を早朝高血圧と云います。このタイプの血圧も心筋梗塞、脳梗塞、脳出血等を発症しやすいと云われており注意が必要です。
④夜間高血圧
夜間睡眠中は低くなっているのが正常の血圧ですが、夜になっても血圧が下がらす、朝まで高い血圧が続く血圧を夜間高血圧と云います。
早朝高血圧同様に心筋梗塞、脳梗塞、脳出血が発症しやすい血圧です。
血圧の高い人は毎日家庭血圧を測定し、しっかりと血圧を管理し、高血圧の合併症を予防しましょう。
家庭血圧測定の普及で、病院の診察室で測った血圧(診察室血圧)よりも家庭で測った血圧(家庭血圧)のほうが、その人本来の血圧に近いと云われ、今日では診察室血圧よりも家庭血圧による診断が優先されるようになりました。
家庭血圧測定で、心臓、脳、腎臓の病気を守りましょう。家庭血圧測定は血圧管理の基本です。『:血圧手帳』を作り、血圧値を記入し、自分の血圧を自分で守ることが大切です。
最後に最も重要なことは、相談出来る「かかりつけ医師」を持つことです。血圧手帳を通して、記録した家庭血圧のデータをかかりつけ医師と共有し、血圧管理を連携し、合併症等が発症しないように進めて行くことが大切です。
*:血圧手帳は病院、クリニック等にあります。
高血圧の基準(単位 mmHg)
収縮期血圧 拡張期血圧 | |
診察室血圧 | 140以上 かつ/または 90以上 |
家庭血圧 | 135以上 かつ/または 85以上 |
日本高血圧学会ガイドライン2014
あなたの血圧はどこに当てはまりますか
成人における血圧値の分類(mmHg)
正常域血圧 |
分類 収縮期血圧 拡張期血圧 |
至適血圧 120未満 かつ 80未満 | |
正常血圧 120-129 かつ/または 80-84 | |
正常高値血圧 130-139 かつ/または 85-89 | |
高血圧 | Ⅰ度高血圧 140-159 かつ/または 90-99 |
Ⅱ度高血圧 160-179 かつ/または 100-109 | |
Ⅲ度高血圧 180以上 かつ/または 110以上 | |
(孤立性)収縮期高血圧 140以上 かつ 90未満 |
日本高血圧学会ガイドライン2014
高血圧治療の目標血圧値(単位 mmHg)
血圧はどのくらいまで下げたらよいでしょうか
年齢や自分が持っている病気によって降圧目標は異なります。
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
若年、中年、
前期高齢者患者 (74歳以下) |
140/90mmHg未満 |
135/85mmHg未満 |
後期高齢者患者
(75歳以上) |
150/90mmHg未満
(忍容性があれば140/90mmHg未満) |
145/85mmHg未満(目安)
(忍容性があれば135/85mmHg未満) |
糖尿病患者 | 130/80mmHg未満 | 125/75mmHg未満 |
CKD患者(蛋白尿陽性) | 130/80mmHg未満 | 125/75mmHg未満(目安) |
脳血管障害患者
冠動脈疾患患者 |
140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満(目安) |
CKD患者(慢性腎臓病) 日本高血圧学会ガイドライン2014
平成30年3月