- 日頃の診療で気になっていること
- 投稿者:井手胃腸科内科医院 院長 井手 一敏
高齢化社会と言われていますが日頃の診療でも来院される患者さんで最近は80歳以上の方は珍しくありません。90歳以上の方も見かけるようになりました。しかし、80歳以上になると身体的には元気な方も加齢に伴う聴力の低下や認知症がみられるようになる方がおられます。
①また、高齢者で一人暮らしの方も多いようです。一人暮らしの方は緊急時の連絡先は必ず主治医に知らせておいてください。(精密検査のため病院を紹介する際に連れて行ってもらう場合も含めて)
②内科系の病気だけでなく、外科や整形外科や泌尿器科や眼科や耳鼻科など何ヶ所も病院にかかっておられる方もおられます。薬の飲み合わせや同じ種類の薬の重複などによるトラブルを避ける為に各病院で処方されている薬の説明書などを記載したお薬手帳などが大切になってきます。病院にかかるときにはお薬手帳を持って受診された方が良いと思います。
③服薬管理がきちんとできているかどうかが非常に重要です。例えば糖尿病では高齢者には低血糖の起こる可能性があるような薬はできるだけ使わないようにこころがけていますが、やむを得ず少量使わざるえない場合もあるかと思います。糖尿病の薬だけでなく、不眠症の方などの睡眠導入剤はもちろんですがふらつきやめまいや眠気などの副作用を持つタイプの薬は注意が必要です。心房細動などで血液を固まりにくくして血管が詰まるのを防ぐ薬は効きすぎると脳出血や消化管の出血などが起こる可能性あるので注意が必要です。従って内服薬で特に注意が必要な薬については服薬の管理がきちんとできていない場合はお薬の処方が困難な場合があります。家族が同居されている場合は家族の方にも薬の処方の内容を把握していただけると処方する場合に安心です。服薬管理は大切で睡眠導入剤などは飲んだことを忘れてまた飲んだりすると大変です。家族の方に服薬管理をしていただくのを嫌うかたもあるようですが少しでも物忘れが出てきたら家族の方に服薬の管理をしてもらったほうが安心です。
④認知症や難聴がある方は家での様子やお薬の効果をお聞きしても判らない場合があり、同居されている場合は家族の方にお聞きしなければならない場合があるかと思います。家族の方は通院の際送迎されている場合は是非主治医に会って帰っていただければと思います。
⑤高齢者の場合は膝や腰の痛みのために長い距離歩くことができない方が多いかと思います。しかし認知症がある場合は車の運転は危険です。同居されている場合もされていない場合も認知症のある高齢者には運転をしないように息子さんや娘さんから説得していただく必要があります。
要するに高齢者の病気の診療には同居されている場合も同居されていない場合も息子さんや娘さんの協力が必要です。
平成25年7月