- 昆虫による刺傷
- 投稿者:蒲池医院 院長 蒲池 壽
夏になると蜂の活動が活発になってきます。蜂による刺傷の場合、患部に針が残ったままになっていることがあります。これはできるだけ早く取り除きたいものですが、ミツバチの針は毒嚢と呼ばれる毒液の入った部分もつながったまま刺さっています。これを、指で摘まんで取ろうとすると、毒嚢を圧迫してしまいますから、毒が傷口の中に注入することになります。カードなどで弾き飛ばすようにして除去します。その後、流水で患部を流してください。蜂に刺されると激しく痛むはずです。原因は蜂の毒のせいですから、傷口から毒の成分を流すのがいいのです。傷口の周囲をつまんで、血とともに毒を絞り出すといいでしょう。口で吸ってはいけません。毒を吸い出した後は、薬があれば塗ってください。抗ヒスタミン系成分を含むステロイド系軟膏が適しています。抗ヒスタミン成分とは、痒み止めの効果があり、ステロイドは炎症やアレルギーを抑える働きがあります。これらの成分によって症状がやわらぎます。薬を塗った後は、患部を冷やすと、痛みがやわらぎます。保冷剤などをガーゼに包み、患部にあてるとよいでしょう。それでも針が残っていれば部分的に皮膚を小さく切除します。私たちの体は異種の蛋白を記憶していますので、2回3回刺される毎にアレルギー反応が強く出現します。アレルギー反応が強くでると呼吸困難ショック症状など致死的状態になる事があります。好んで刺される方はいませんが、蜂を見たら、はたく等しないで静かにみまもる事が大切です。
昆虫の刺傷で思う浮かぶ物の、もう一つはムカデによる刺傷です。ジカッとした激しい痛みで(これは非常に痛い)、ハチのように針で刺すのではなく、噛みつくのです。ムカデの種類によって違いはありますが、噛まれると激しい疼痛(ズキズキする痛み)、しびれ、患部が灼熱感をもって赤く腫れて炎症を起こすなどの症状。また重症の場合、周辺組織が壊死や潰瘍化することもあります。局所症状は、人によって様々な反応があるようですが、発熱や頭痛、めまいや吐き気などの全身症状がまれに出るケースもあります。痛みの軽減、腫脹の防止には、早めにやけどしない程度のお湯(43度以上で患部を10~20分、シャワーをかけて温めます。冷やすのではなく、温める方がいいのです。なぜなら、ムカデの毒はタンパク質で熱に弱いのです。そして体のごく浅い皮膚表面に毒が入るので、噛まれたらすぐにシャワーをかけて温め流すと、毒が拡がるのを抑えられるというわけです。ご心配な方はかかりつけの医師に早めに相談または受診してください。
平成28年8月