- 老いと健康
- 投稿者:弥生園 吉村 修一
私が前回この『病気と健康の話』に投稿させていただいたのは丸山病院に勤務していた平成20年2月号でした。あれから15年も経っており、つくづく月日の過ぎ去るのは早いものだと感じ入っております。丸山病院も天神会「新古賀リハビリテーション病院みらい」に変わり、私の保険証も後期高齢者用のものに変わりました。老健「弥生園」に勤務しながら平均年齢85歳の入所者さまと一緒にコロナに警戒しながら自らの健康に留意しています。さて、今回は私自身を含めてご高齢の方の健康づくりに役立つような、いくつかのコラムに私の感想などを織り交ぜてご紹介したいと思います。このような情報をヒントに地域の皆さまが健やかな日々を過ごしていただけることを願っております。
《老老介護》
高齢者が高齢者をお世話する「老老介護」の割合が年々増えているそうです。2022年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、65歳以上を介護する人の6割超が同じ65歳以上の高齢者だそうです。さらに後期高齢者の75歳同士の割合も35.7%で高齢化の進み具合と老老介護の深刻な実態が進んでいるそうです。この話は私の家の周りでもご多分に漏れず、区の行事毎で顔を会わせるメンバーに話すと皆納得しております。
《健康を支える鍵》
高齢になると食欲が低下します。カロリーや栄養素のなかで特に肉・魚・豆類などのタンパク質の摂取が不十分になりがちです。その状況が続くと、体力・筋力・意欲に加えて、感染症に対する抵抗力も低下してしまいます。朝食・昼食・夕食の3食をしっかり食べるようにして、減塩食を心がけて、野菜もできるだけ食卓に並べるようにしましょう。私も、野菜をとるコツは『油で炒める事でビタミン類がアップし、かさも減る為食べられる量が増えたり、ドレッシングで事前に和えておく事で味が染みて沢山食べられたりします』と管理栄養士さんから聞いてその方法を試しています。
普段からきちんとした運動をして体力を維持しておくことが病気の予防につながります。座ったままの時間を短くすることなど、身近なことから始めてみましょう。30分座って1分くらい軽い運動をすることで血圧も血糖値も明らかに下がります。大切なことはこまめに体を動かすことのようです。私も柔道・野球・ゴルフと体力には自信があった頃を懐かしみながら、ウォーキングに勤しんでおります。
人生を明るく豊かにするために、楽しいと思うことを優先するようにしましょう。そして物事を悲観的に考えずに楽観的にとらえて、明るく振る舞いましょう。そうすることでストレスに感じることも減り、自律神経も安定して体調が良好に保たれます。私もストレスを感じることは随分減りましたが、何よりのストレス発散術はプロ野球のナイター中継を観戦しながら晩酌することです。これからはドジャースのオオタニサーンの活躍ぶりを見守ることも生きがいの一つになりそうです。
*『サルコペニア』筋肉量や筋力の低下による身体機能の低下を指します
*『フレイル』身体的だけではなく、精神・心理的、社会的な衰弱や虚弱を含みます
《入浴の工夫》
高齢者の入浴熱中症が増加しています。寒い脱衣所から急に熱い湯に入ったときに血圧が変動して心筋梗塞を起こしてしまうヒートショックよりもこの入浴熱中症の方が高齢者では圧倒的に多いとされています。体温37℃の人が全身浴をした場合、湯温が41℃では33分で、42℃では26分で体温が40℃に達するというデータがあるそうです。体温が40℃を超えると熱中症の症状が出始めて意識障害が起き、42.5℃に達すると心房細動を起こして突然死する危険性が高くなります。高齢者は暑さを感じにくく、長時間浴槽に浸かる傾向にありますので注意が必要です。体温を過度に上昇させない具体的な入浴の仕方などを工夫する必要があるようです。
*湯温を41℃以下にする
*浴槽につかる時間は10分以内にする
*浴室に時計を置く
*半身浴やシャワーを取り入れる
*入浴後の体温測定を習慣にする
*飲酒後に入浴しない
*入浴する際に同居者に一声かける
令和6年2月