一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 老人性紫斑
  • 投稿者:いけだクリニック 院長 池田 秀郎

外来でおじいちゃん・おばあちゃんを診察していると、しばしば前腕や手背に紫色の斑点が出て来ているが、変な病気ではないでしょうかとの相談を受ける事が有ります。まれには本当に変な病気の事も有りますが、ほとんどが老人性紫斑によるものです。
ikeda201610原因はごく軽い打撲で表皮下に出血した跡が、紫斑状に見えるものです。年齢とともに皮膚結合組織の老化による基質的な変化が起こり、膠原繊維や弾力繊維の萎縮が進行し毛細血管の詭弱化により、ほんの少しの衝撃で表皮と真皮の間に出血が起こります。ほんの少しの衝撃の為本人に自覚が無く、全く打った覚えはないと言われる事が多いです。初めは赤紫色ですが、徐々に黄色に変化し、2〜数週間ほどで消失します。痛みを伴う事はほとんどなく、特に治療の必要はありませんが、出来れば出血傾向の有無の確認をしておいてください。
同じ機序でもう少し強い衝撃で打撲すると、表皮が剥離し出血する事が有ります。また手首を強く引っ張ったりしても皮膚剥離を起こします。この場合は剥離した皮膚を切除せずに外来を受診してください。消毒後、傷を剥離した皮膚で被覆してあげると、治りがかなり早くなります。
これらの予防は、皮膚を露出しないことに尽きます。すなわち長袖を着、出来れば手袋をして打撲等の衝撃を軽減する事です。下腿にも起こりやすいので、長ズボンや厚手のハイソックスを使用するのも有用です。

平成28年10月

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