一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

たなか耳鼻咽喉科医院 院長 田中 久志

  • 耳鳴り
  • 投稿者:たなか耳鼻咽喉科医院 院長 田中 久志

耳鳴りはなぜ起こるのか。世界中の学者が耳鳴りの原因や発症メカニズムについて研究していますが、いまだに不明の部分がたくさんあります。ここでは、現在分かっていることを中心に述べてみたいと思います。
耳鳴りは、音の伝わる経路(外耳、中耳、内耳、聴神経、脳)のいずれかに    異常があって超こるものと考えられています。主な疾患として次のようなものがあります。
外耳では、耳垢がたまったり異物が入り込むと、ガサガサという音の耳鳴りが起こることがあります。中耳では、急性または慢性の中耳炎、あるいは耳管(中耳と鼻をつなぐ管)の機能障害で耳鳴りがします。内耳では、内耳炎、感 音性難聴、騒音性難聴、突発性難聴、老人性難聴、ストマイ難聴、メニエール病などが耳鳴りを伴います。聴神経では、聴神経腫瘍、また脳では、脳血管障害、脳腫瘍などが耳鳴りの原因になり得ます。
このほかに全身的要素として、糖尿病、高血圧、動脈硬化、うつ病、神経症やさまざまなストレスに伴う精神神経科的疾患、頭頚部外傷、頚椎の異常などでも耳鳴りが起こることがあります。
さて耳鳴りの治療法ですが、先に述べましたように原因がたくさんありますので、当然治療もいろいろな方法があるわけです。耳鼻咽喉科だけではなく、内科、脳神経外科、神経内科、精神科、整形外科などと協力しながら治療してゆくこともよくあります。
耳鼻咽喉科で一番多く認められるのは中耳性の耳鳴りですが、薬による治療として神経を丈夫にするビタミン剤(特にビタミンB群)、末梢循環改善剤、筋弛緩剤、精神安定剤などを用います。そのほか補聴器の使用、マスカー(耳喝遮蔽器)、バイオフィードバック(筋の緊張を除くリラックス療法)、中耳腔内薬注入療法などがあります。
治療の効果は基礎疾患によって速いますので、一概にはいえません。治療法が確立している外耳・中耳性の耳鳴りは、原因疾患が治ると耳鳴りもほぼ消失しますが、いまだに治療法が確立していない耳鳴症も多く、これらについては残念ながら完治することが雑しいのが現状です。しかしながらさまざまな治療法を総合的に使い効果を高めてゆくことができますので、あきらめることなく根気強く主治医と相談しながら治療を続けられますようにお勧めします

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