- 肥満の改善
- 投稿者:中原内科クリニック 院長 中原 俊尚
自然界において、野生生物は必要以上に食物を摂取する事もなく、敵に襲われても逃走出来るように適切な体重を維持するためか肥満の個体は存在しないというのが普通です。
しかし人間社会において、肥満者の割合が増加しています。エネルギー収支を見てみると、消費(支出)は基礎代謝6割、運動3割、熱生産1割である一方でエネルギー摂取(収入)は朝食、昼食、夕食の三食と間食を含めた経口摂取が全てとなります。エネルギー摂取がエネルギー消費を上回れば、余ったエネルギーは脂肪として体に蓄積され、内臓脂肪、脂肪肝、脂肪筋、皮下脂肪となって、これらが積み重なることによって肥満に至ります。
2012年以前は、生活習慣病撲滅対策として各疾患毎の対策しかされていませんでしたが、これ以降はBMI(Body Mass Index)=(体重㎏/身長mの2乗)の値が25以上を示す肥満者の肥満改善が急務となり、メタボリックシンドローム及びその予備軍を含む特定健診が施行されるようになりました。特定健診では一般的な定期の血液検査やメタボリックシンドロームの有無(BMI25以上の肥満者を含め、内臓脂肪面積ないし腹囲で評価される内臓脂肪蓄積)を診断の必須条件としています。
この必須条件のうち、BMIが25以上である肥満者の増加は、車社会における運動不足、過度のアルコール摂取、脂質の多い食事や過食による脂肪蓄積の増加といった、生活習慣の乱れによって引き起こされると考えられ、2012年には肥満者が男性の29.1%、女性の19.4%を占めています。また、メタボリックシンドロームは内臓脂肪を表す腹囲が男性85cm、女性90cm以上であるのに加えて高血圧、脂質異常症、糖尿病のうち2項目以上が該当する状態を指し、1項目該当でメタボリックシンドローム予備軍と診断されます。2014年現在、40~74歳の間で男性は2人に1人、女性は5人に1人がメタボリックシンドローム及びその予備軍と言われています。ここで、腹囲が男性85cm、女性90cm以下の場合、高血圧、脂質異常症、糖尿病であってもメタボリックシンドロームではないことも付け加えておきます。
上記を踏まえ、皆様にはエネルギー消費を考えた適度な食事、運動をお願いすると共に、腹囲を減らし肥満改善(BMI18-25の間、最適21-23)を宜しくお願いします。
平成26年11月