- 胃癌予防のために『ピロリ菌』を除菌しましょう
- 投稿者:梯医院 院長 梯 龍一
このコーナーにもピロリ菌の話題は数多く出ていて、テレビや新聞等のマスコミにも取り上げられ、以前に比べ幅広く知られるようになりました。今回はその中でも「胃癌予防のための除菌」と「健康保険で除菌が出来る人が増えました」というお話です。
(1) ピロリ菌を持っていても多くの人は病気になりません
ピロリ菌の陽性率は40才以上の人では約70%といわれ、ピロリ菌を持っている事がすぐ病気になるという事はありません。
(2) ピロリ菌は慢性胃炎を引き起こす可能性があります
ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍を引き起す事が知られていますが、胃の粘膜が委縮し慢性胃炎を引き起す事もわかっています。慢性胃炎は症状がない事が多く、健康診断や人間ドックでわかる事が少なくありません。
(3) 慢性胃炎は将来がんへ進展する可能性があります
統計学的な数字では、慢性胃炎から胃癌の発症は年間0.4%の確率だそうです。もしあなたが50才ならば、80才までの30年間で12% (0.4%×30年)の確率で胃癌になるという計算になります。
(4) ピロリ菌陽性の慢性胃炎の人は除菌によって胃癌を予防出来る可能性が高まります
肺癌の最大の予防はタバコを止める事と言われていますが、それと同じく胃癌の最大の予防はピロリ菌の除菌と言えるでしょう。
ここでポイントを整理しましょう。
ポイント① 今年から慢性胃炎の人のピロリ菌検査・除菌が健康保険の適用になりました
今までは潰瘍がないと健康保険の適用になりませんでしたが、これからは症状のない慢性胃炎でたまたまドックで診断された人でも、健康保険で除菌を受けられます。
ポイント② 健康診断・人間ドックの際は胃透視ではなく胃カメラを受けましょう
慢性胃炎の診断は胃カメラ検査で行う事と保険上のルールで決まりました。健康診断や人間ドックで胃の検査を受けられる場合は、迷わず胃カメラ検査を受けて下さい。
ポイント③ 慢性胃炎の診断を受けたら6ヶ月以内に医療機関を受診しましょう
健康保険で除菌を受けるには、保険上6ヶ月以内に診断というルールが出来ました。慢性胃炎の診断を受けたら是非早めに受診されることをおすすめします。
ポイント④ 胃の調子が悪い人は積極的に胃カメラ検査を受けましょう
症状のある人は、症状が軽くても慢性胃炎の可能性がありますので、積極的に受診される事をおすすめします。
ポイント⑤ 除菌治療は1週間の内服です
3種類の薬を服用します。抗生剤が2種類ありますので、下痢が起こりやすい特徴があります。腸の弱い人は主治医と相談してください。
平成25年9月