- 若者・中年の結核
- 投稿者:白石医院 院長 白石 恒明
1999年7月26日厚生省は結核緊急事態宣言を出して、結核に対する注意喚起を促しました。結核は戦前戦後蔓延していた病気ですが、その後急速に罹患率は低下していたのですが、1997年より罹患率は上昇に転じました。これは若い人たちの結核が増加してきたからです。日本では、0~3歳、小学1年、中学1年時にツベルクリン反応陰性者にBCG接種を行っていますが、BCGの効果は10年程度であり、小児の髄膜炎、粟粒結核には極めて有効とされますが、成人の肺結核についてはあまり効果がありません。よって、BCGを接種したからといって肺結核にかからないわけではありません。
結核になりやすい人としては、当然高齢の方々ですが、若くても糖尿病、胃の手術後、腎疾患などの基礎疾患をもっている人は要注意です。また、過度なダイエットをしている人、食事が不規則で、夜更かしが多い職業の人も要注意といわれています。
結核は進行が緩徐な慢性疾患です。よって、結核の症状は緩やかです。軽い咳が何週間も持続したり、朝は平熱なのに、夜37℃前後の微熱がでる、夜寝苦しく汗をかく、体がだるく体重が減少する、軽い貧血があるといった症状が持続する場合は一度胸部X線検査をお勧めします。
現在では結核は初期に治療をすれば大部分の人は6ヶ月程度の治療で治る病気です。また、人から人へ感染する病気です。出来るだけ早い病気の発見が重要です。
全く無防備の状態にある。結核菌におそわれたら一気に重症化し、髄膜炎や粟粒結核になる。 でもBCGを接種していれば、重症化は防げる。死亡例は未接種の場合がほどんど。赤ちゃんのうちに必ず接種を。 | |
BCGの効果は、小学生時代は持続しているようなので、小1のBCG接種は見直されることに。 |
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特に結核菌に好かれる年代、発病したら進行が早い。特に、女子が弱い。 高1の学校検診では、胸部X線検査がまだまだやめられない。 |
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思春期に続いて結核菌に好まれる年ごろだが、女子と男子が逆転する。 活動的な年代だから、排菌している患者が一人出ると、方々で感染者を出す。若さにまかせて無理、粗食・偏食。自由業の人は定期検診を受けず、発見が遅れることが多い。 |
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社会の中堅だが、本物の結核菌に感染していないから強い免疫力がないのは若い世代と同じこと。 比較的安定した時代だが、生活習慣病も出てくる。 |
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年をとれば、それだけでも免疫力が落ちるうえ、生活習慣病も加わる、危険な年ごろだ。 わが国は昔の大まん延の後遺症で、この世代の多くが既感染。結核再燃で新登録患者の半数以上を占めている。今後もますます高齢化が進み、再感染の問題もとりざたされている。 |