一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 足トラブルの予防
  • 投稿者:黒岩医院 院長 黒岩 達

“足に合った靴えらび”  ”爪を育てる”

足の形は足指の長さのバランスで見た場合、大きく分けてギリシア型、エジプト型、スクエア型の3種類があり、日本人にはギリシア型とスクエア型が多いといわれます。(特に最近の子供の足型はギリシア型が増加している。)

ギリシア型:特徴は第二趾が第一趾より長いため、つま先に十分な余裕が必要。
エジプト型:第一趾が長く、標準的な足型だが、つま先の丸い靴では、足先が前にすべり、つま先を痛め易い、つま先のやや細い靴が奨められる。
スクエア型:第一趾から第五趾まで、ほとんど同じ長さ。外反母趾にはなり難いが、陥入爪、魚の目、タコなど生じやすい。幅に余裕がある、先が丸い、あるいは靴ヒモで調節の利くものが奨められる。

日ごろの靴えらびでも足型を考慮して、靴を探すとより快適に活動できますが、スポーツ・シューズでは先丸型(ラウンド型)が基本となっており、”長さ”と”幅”で選ぶことになります。
また、運動の種類によって、靴底(ソール)やクッションが異なっているため、まず自分がする運動(ウォーキング、ジョギング、テニスなど)に応じた、つま先部分に約1.5cm程度の余裕がある長さで、足のボリュームに合った幅の、靴ヒモで微調節できて、良好なフィット感が得られるものを選ぶことが肝要です。

“インソールの大切さ”
使用中に違和感があるときは、靴ヒモの微調整を行うことはもちろんですが、インソール(中敷き)の交換も考慮すると良いでしょう。
元来、足には土踏まずを形作る、前後のアーチと横方向のアーチとの、二つのアーチがあり、これにフィットしたインソールは特に大切で、ヨーロッパではこの調整を行う専門のシューフィッターもいるほどです。

一般的な話として、”靴は午後に買う”
健康な人でも、足のボリュームは夕方には約8%腫れると言われます、足が比較的小さな時間帯に靴を選ばないのは、大切な常識です。

“足のトラブル”

履物に関連した足のトラブルとしては以下のようなものがあります。

① 外反母趾:母趾がその基部の関節から外方の曲がる変形、多くは開帳足(各趾の基部関節が横に広がり、平らな形)を伴う、先天的要因と後天的要因によって生ずる。
エジプト型に多いといわれ、足部の関節炎が主な原因と考えられるが、つま先の細いハイヒールはこれを悪化させる。
② ハンマートウ:小さめの靴やハイヒールを履き続けることで、足の指がくの字に曲がり、まっすぐに伸ばすことができなくなる。
横から見ると小槌のような形をしている。
ひどくなると関節に痛みが出てくる。
③ 陥入爪:(ほとんどが母趾)
つま先の細い靴と不適切な爪きり(☆深爪)のため、爪が皮膚に食い込み、化膿して腫れ、痛みがでる。
④ タコ・魚の目:足の特定の部分に圧力、刺激が加わり皮膚が角化し厚くなり、このため違和感や痛みの原因となる。

“爪を育てる”
【適切な爪きりと手入れで予防できる”陥入爪”】
この中で病気として、しばしば見られるのは、陥入爪です。
中高生で靴を履いての運動をする生徒に多く見られます。
化膿して、痛くて腫れあがった状態で来院されます、
今までは、食い込む爪を含めて切り取って、爪自体を小型化する手術が行われてきましたが、痛みや美容上からも望ましくないため、現在では新しい治療法が行われるようになりました。
軽症例にはコットンパッキング法、変形のひどい爪には爪の矯正法などが行われます。
しかしながら、陥入爪の多くは適切な爪の手入れで予防可能です。
(変形の高度な爪には超弾性ワイヤによる痛みの少ない治療法がある。)

足の爪は、手の爪より発育がやや遅く、一月に約2mmのびるので、2週に1回は定期的な爪の手入れが必要です。

【正しい爪の切り方、“深爪厳禁”
特に、足の趾は靴に拘束されつつ体重を支えるため、不適切な爪切りをするとその害は大きい。
陥入爪の予防のため、勘違いして、爪を短くカットする人がいますが、大きな間違いです。
陥入爪の最大の原因は”深爪”です。
爪の働きは指のサポートですが、役目を果たすためには十分な大きさが必要です。
小さすぎる爪は、逆に、皮膚に食い込み易い。

(1)爪の前縁を約1mm白い部分(指から浮いた部分)を残して切り、決して、趾の先端より出ない長さにする。
(2)左右の角はヤスリを用いて、爪棘や角を取り、なだらかなrを形作り、趾の上に爪が乗っかっているように仕上げる。
このように”爪を育てる”ことが大切です。
(3)爪の手入れは2週に1度の割合で。

少し長めに爪を仕上げること
陥入爪の予防のためにと”深爪”をする人がいますが大間違いです。



手入れの行き届いた足に、良くフィットした靴を履いて
レッツ・スポーツ
秋です!!!

平成20年9月

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