一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 長生きするためには
  • 投稿者:神代病院 中村 栄治

人は誰でも長生きしたいものです。日本の平均寿命は世界一であり、そういう面では私たちは幸せな国に住んでいます。しかし長生きできても病気で寝たきりとなり、入院や介護が必要となることもあります。
平成22年の日本の県別平均寿命をみると、最も長かったのは男女とも長野県でした。長寿の原因は私にはわかりませんが、水や空気がきれいで自然環境に恵まれており、高齢者にも住みやすい条件が揃っているのかもしれません。かつては沖縄県が平均寿命はトップだったと聞いています。それが最近トップでなくなった原因の一つとして、食習慣に西欧化の影響が加わり、肉や脂肪の摂取量が次第に過剰になったためではないかと言われています。同じ日本人なのに、地域によって平均寿命に差があるのは本人の遺伝的な要因よりも、生活習慣の違い、環境的要因が強いのかもしれません。
最近「メタボリックシンドローム」という言葉をよく耳にしますが、肥満が健康に悪影響を及ぼすことを人はみなうすうす感じていると思います。しかし目の前にごちそうがでると腹いっぱい食べたくなるのが人情です。アメリカでは肥満者が著増しており、中には太りすぎて自分で動けなくなっている人もいます。肥満が進むと心、血管系やその他の内臓に悪影響を及ぼし、寿命を縮める結果になります。また、合併症によっては寝たきりとなり、長期の入院や療養生活が必要となる場合もあります。
そういう私も食欲がありすぎて、今では立派なメタボ体型となりました。ごちそうは食べても腹八分目として、これからは私も少しでも痩せる努力をしたいと思います。人は大病をして初めて健康の有難さがわかるといいます。長生きできても寝たきりになってはむなしいでしょう。
最近は
平均寿命よりも健康のままでずっと生きられる期間である健康寿命を延ばすことがより重要と考えられています。平成22年の日本人の健康寿命は男性70.4歳、女性73.6歳でした。同年の健康寿命は平均寿命に比べ10歳前後短くなっています。
年をとると程度の差はありますが何らかの病気、障害により病院にかかったり介護の必要性がでてきます。今後日本はますます高齢化社会となり、国は医療、福祉に対する予算を維持しなければならず、ますます高齢者に経済的な負担がかかってくるものと思われます。年をとってもなるべく健康でいられるよう個人個人が病気の予防に努めていきましょう。
肥満の予防のためにはバランスの良い食習慣と適度な運動が必要です。だいたい肥満体質な人はからだを動かすことが苦手な人が多いようです。適度の運動といっても個人差がありお年寄りには無理な運動は勧められませんが自分のペースで散歩することが最も有効な手段と考えられています。
日本社会がいつまでもお年寄りにやさしく、いずれ臨終の時がきたときに、日本に生まれ今まで生きてきて良かったと誰もが思える社会であって欲しいと念願しております。

平成26年9月

PAGE TOP