一般社団法人 小郡三井医師会

病気と健康の話

  • 頻尿
  • 投稿者:福山泌尿器科医院 院長 福山 明

頻尿とは、排尿回数の増加あるいは排尿間隔が減少した状態です。正常者で排尿間隔は大体3~4時間1日の排尿回数は5~6回が普通です。夜間睡眠中は排尿がないか、あっても1回ぐらいです。
頻尿の原因はさまざまですが、膀胱の刺激に基づく頻尿として代表的な疾患は、急性膀胱炎です。この病気は、解剖学的理由(女性は尿道が2、3センチしかない)によりほとんど女性に発症し、膀胱の細菌感染が原因で排尿痛を伴います。ほかに膀胱結石、膀胱腫瘍、尿管下端結石等があります。  次に残尿(排尿したあとも尿が膀胱に残っている状態)があるための頻尿として代表的な疾患は、前立腺肥大症があります。前立腺は尿道の奥、膀胱の出口にあり、年齢とともに肥大し尿の通り道を圧迫して尿が出にくくなります。これが前立腺肥大症です。65歳以上の男性の25パーセントに前立腺肥大症の症状が出るといわれています。初期の場合は、内服注射で治療しますが、病状が進んで残尿が50cc以上もあったり、尿閉(尿がまったく出なくなること)をきたすようになれば手術が必要です。現在は尿道から器具を入れて前立腺を削り取っていく経尿道的手術が主流です。
膀胱容量の減少による頻尿として妊娠があります。膀胱が圧迫され頻尿が起こります。また、膀胱結石による萎縮膀胱等があります。
膀胱は蓄尿排尿の2つの作用をもっていますが、これらの排尿中枢あるいは神経路障害(脳梗塞、脳出血)によっても頻尿が起こってきます。  
その他、尿量の増加(多尿)による頻尿があります。尿量は食事・水分の摂取量、発汗、下痢などによって増減しますが、1日尿量は1000~2000ccであり、毎日の尿量が2000cc以上であれば膀胱容量が正常であっても当然頻尿となります。原因疾患としては糖尿病があります。
また、神経因性頻尿といって、尿路になんら異常がないのに頻尿がみられることがあります。小児では、家庭生活、学校などによる環境の変化や、成人においては就職、結婚あるいは仕事に対する不安や緊張などが原因とされています。
以上、頻尿の原因はさまざまですが、原因に対する適切な治療が必要です。

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