- 3大認知症について(増えている?レビー小体型認知症)
- 投稿者:本間病院 院長 本間 五郎
認知症とは「様々な原因によってもの忘れ(記憶障害)や判断力の障害などが起こり、社会生活に支障をきたすこと」を言います。認知症の原因となる疾患は様々ですが、その大部分を日本では①「アルツハイマー病」②「血管性認知症」③「レビー小体型認知症」が占めており、3大認知症といわれています。今回は、それぞれの特徴を書いてみたいと思います。
1.日本で現在一番多い認知症はアルツハイマー病で加齢とともに増加し、認知症の約60%を占めるとされます。原因はまだはっきりわかりませんが、もっとも有力視されているのが「アミロドイドβ(ベータ)」というたんぱく質で、この物質が脳に蓄積して神経細胞が減少し、脳の萎縮が進行する病気とされています。症状は徐々に進行する記憶障害や場所や時間の判断がつかなくなる見当識障害などを中心とする「中核症状」を認めます。他に徘徊したり怒りっぽくなったり物を盗られるという妄想などの「周辺症状」を認めることがありますが、個人差があります。
2.次に多いのが血管性認知症で約20~30%を占めるといわれています。原因は脳の血管がつまる脳梗塞や血管が破れる脳出血などの脳卒中(脳血管障害)で引き起こされる認知症です。脳卒中では、障害された脳の部分によって、「麻痺」や「言語障害」などさまざまな症状が現れます。認知症は、認知や記憶をつかさどる部分が障害されることで起こる症状です。ただし、脳卒中の発作を起こしたすべての人に、血管性認知症が起こるわけではありません。多くの場合、麻痺や言語障害など、はっきりとした脳卒中の症状が現れたあとに、「もの忘れ」「今までできたことができない」「何事にもやる気がない」などの認知症の症状が現れます。軽い脳梗塞をくり返すことが多く、その場合、階段状に症状が進行します。
3.残りの10~20%がその他の認知症ですがその中でも最近はレビー小体型認知症の報告が増えているといわれています。レビー小体とは、もともと脳の神経細胞の中にある「α(アルファ)-シヌクレイン」というたんぱく質が固まったもので、そのため神経細胞が障害されさまざまな症状が現れます。症状の特徴としては多くの場合、初期には記憶障害は目立たず実際には存在しないものや人が見えるという幻視がしばしば現れます。他に手足が震える、動作が遅くなる、歩幅が小さくなるなど、パーキンソン病の症状が現れることがあります。また症状が変動しやすく、よい時と悪い時で症状が大きく変わるのも特徴です。よい状態の時には周囲からは症状があまりよくわからない時もあり、それが発見を遅らせる原因になることがあります。
いずれの認知症にしても早期発見が大切です。レビー小体型認知症では、記憶障害などの中核症状だけでなく幻視に基づく行動があり、ご本人はもちろん家族にも負担がかかることが少なくありません。介護の負担を軽減するためにも、早期発見、早期対応することが大切です。ご家族が「なにか様子がおかしい」「以前と何か違う」と感じたらかかりつけ医や専門医に相談することをお勧めします。
平成25年2月