- 手足のしびれ
- 投稿者:赤松医院 院長 赤松 誠一郎
「しびれ」の内容
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Ⅰ.感覚障害 1.感覚鈍麻…さわって鈍い 2.感覚過敏…敏感に感じる 3.異常感覚…いやな感じがする ①ジセステジア 物が触れずに感じる異常感 (座った後のジンジン感など) ②パレステジア 物が触れて感じる錯感覚 (冷たい物を熱いと感じるなど) |
Ⅱ.運動障害…力が入らない |
Ⅲ.感覚障害と運動障害の合併 |
●しびれの内容
「しびれ」は、患者さんがしばしば訴える神経症状ですが、その場合、感覚障害だけでなく、ときには運動障害を意味していたり、また感覚障害と運動障害とが合併していることもあります(正座後のしびれがよい例です/表)。 このように「しびれ」という訴えには、その一語の中に異種かつ多内容の自覚症状が含まれており、その点が他の愁訴(例えば痛みなど)と最も異なるところです。
●しびれの原因疾患
さて手足の「しびれ」は、末梢、中枢(脊髄、脳)いずれの神経障害でも起こり、また、その分布は障害部位により特徴的です。
末梢神経疾患は、「しびれ」の原因として 最もよく経験するものです。一つの末梢神経が障害される単神経障害は、単純な圧迫や外傷で起こります。手首で、正中神経圧迫により片方の親指側手首が焼けるように痛んだりしびれたりするものは、手根管症候群という病気です。
また、下肢では、大腿外側の異常感覚、痛みをきたす感覚異常性股神経痛があります。いずれも当該神経の支配領域に「しびれ」を認めるのが特徴です。
一方、多発性(末梢)神経障害では、左右の腕や足に対称的に、ちょうど手袋と靴下を身に着けるような範囲にしびれが現れ、有機溶媒(シンナー・エチレン)、重金属(鉛・有機水銀)等の中毒、糖尿病、尿毒症等の病気で起こります。
末梢と中枢(脊髄)神経の接続部付近の障害による「しびれ」は、脊柱の病変(頸部、腰部に多い)でみられ、頸椎症、腰部椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症がその代表です。
最後に、中枢性の「しびれ」ですが、例えば大脳に病巣(脳血管障害が多い)がある場合、顔面を含む半身という分布をとることがあります。中枢でも脊髄病変の場合、その場所と広がりによって範囲は変わりますが、皮膚分節にそって「レベル」があるのが特徴です。いずれにしても、このような「しびれ」の分布を認めたときは、早急に専門医(神経内科など)での精査が必要になります。
以上述べた神経障害以外に、末梢循環障害、心因性要因でも「しびれ」は起こり、原因疾患は非常に多領域にわたっています。これらの基礎疾患の治療が、ひいては「しびれ」症状の軽減につながりますので、各々の疾患治療については、各専門医にご相談ください。